徳永英明さん(右)は「もやもや病」で清水富美加さん(左)は「ぺふぺふ病」?

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 過日、『徳永英明コンサートツアー2016 ALL TIME BEST Presence』(昨年12月15日、名古屋・センチュリーホール公演)の模様が、WOWWOWで独占放送された。終盤、聴衆と一緒に『壊れかけのRadio』を歌い終えた徳永さんは「最高です」と笑顔でひと言――。

 徳永さんは昨年2月、脳血管を繋ぐ開頭手術を受けて2カ月間のリハビリ療養後に、4月のイベントで復帰。6月から前掲ツアーに臨んだが、7月に喉の不調を訴えて、やむなく福岡と愛知の公演を延期した経緯があった。それゆえ、短い謝意に込めた彼の想いは、画面越しにも伝わってきた。

 その延期公表の際、レコード会社側からは「今回は『もやもや病』ではございません」との説明がなされたが、術後半年での椿事にファンの憂慮は募り、「ゆっくり時間をかけて休んでほしい」という願いがネット上でも飛び交っていた......。

 「もやもや病」という平易な名称のほうがすっかり定着した特定疾患「ウィリス動脈輪閉塞症」。その存在が広く世間に認知されたきっかけこそが、「徳永英明が襲われた難病」という一連の報道だ。

当初は「ムラムラ病」の別称も

 徳永さんが最初に倒れたのは2001年5月のこと。のちに「頭が痛くなり、痺れたり、言葉がうまく話せなくなった。歌っていてもテンポが遅れてしまう」と述懐した症状は、「もやもや病に伴う一過性脳虚血発作」と診断されて当時のツアーも途中キャンセルを余儀なくされた。

 その後の通院・検査・静養の日々は約1年8カ月にも及んだが、病名も症状もイマイチ判然としない初期の一部報道では「ムラムラ病」などの造語も使われていた。また、復帰後に出演したテレビ朝日系『徹子の部屋』内でも、黒柳さんと本人のこんなやりとりがあった。

 黒柳:「そういう病気があったことも皆、知らなかったじゃない。あなたがもやもや病だと新聞やテレビで出たので、同じもやもや病の方たちにとっては良かったんですってね」

 徳永:「僕もよくはわからないんですけれども、やっぱり病名っぽくないじゃないですか。だから、からかわれたりとか、そういう人も沢山いたようで......」

 それが近年では「もやもや病」、日本人やアジア地域で多く、とりわけ女性の発症率は男性の約2.5倍もあり、最も多いのが子どもだが、30〜40代の成人が見舞われる場合も――日本の罹患者はおよそ1万5000人(2012年)と推計される。

 身近な例では、麺類の熱さ冷ましやハーモニカを吹いた際、あるいは短距離走後に一時的に手足が動かなくなったり、呂律が回らないなどの発作に襲われる――過呼吸が関係しているらしい、程度の認識は一般にも浸透した。
突然芸能界引退を表明した清水富美加さんは「ぺふぺふ病」?

 無双のハイトーンで人気を博した美声歌手を診て、当時の医師さえもがこんな助言もしたという。

 徳永:「はじめ(の頃)、先生が『徳永さんはバラードだから、コンサート演っても大丈夫』と言ってくれて......『いいえ、先生、それは甘いですよ。バラードをバカにしてはいけませんよ』と(苦笑)」

 こんな徳永秘話からも、難病の難病たる所以が伝わってくる。一方で、ひとたび有名人の病例が報じられたり、難儀な症状や聞きなれない疾患も簡潔な病名を与えられた途端に浸透効果を発揮するという、巷間の趨勢も読み取れる。

 さて、久しぶりに「もやもや病」の響きを聞いて、「つい最近も、それに似たようなコトバを耳にしたような......もふもふ、いや、ぺふぺふ病だ!」と思わず膝を叩かれた方もいるかもしれない。

 そう、宗教法人の活動専念を理由に突然芸能界引退を表明して、騒動にさらされている清水富美加さん。彼女が昨年末上梓したフォトエッセー『ふみかふみ』(写真・佐内正史、幻冬舎)の中で、当時の(?)自身の精神状態を独特の擬音語で表した造語として話題を呼んでいる。

 富美加さん曰く、「それは感情に起伏がなく これといった悩みもなく 余裕があるような というといいように聞こえるが ガムシャラな感じがなく やる気が感じられず 生きている感じがしない というと悪いように聞こえるが」

 「がんばっていないわけでもなく そして調子に乗っているわけでもなく そう、擬音にしたら ぺふぺふしているような状況の 一種の病」

 今回の引退をほのめかすかのようなこの「症状」に対し、朝の情報番組に電話出演した精神科医・和田秀樹氏は「なんか、生きている感覚がリアルに感じられないということがすごく伝わってくる」と第一印象を述べて、こうも解説していた。

 「自分の感情が自分で解らないような状態。自分が感情を持っている感覚が持てない――まあ、重度といえば重度」

 こんな専門筋の診断についても、放送直後から嘲笑する投稿がネット上に書き込まれるのも日常茶飯事な光景だ。

 しかし、清水富美加さんの今後の生き方云々や「ぺふぺふ病」というユルい語感は別として、もしかしたら数年後には「ふみかふみ病」の実相が解明されて一種の現代病として認知されているかも......。名は体を表わすともいうし。
(文=編集部)