顔の洗い過ぎで、かえってニキビが悪化する?

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執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ

ニキビは、「尋常性座瘡(じんじょうせいざそう)」いう皮膚の病気です。

思春期以降に発生し、日本では成人のおよそ90%が経験しているともいわれるほど身近な皮膚疾患です。

多くの人が経験するとはいえ、顔にニキビができると、嫌な気持ちになりますよね。なかには「なんとか早く治したい」と、一日に何度も洗顔をしている方もいることでしょう。

ところが、洗顔のしすぎによってかえってニキビを悪化させることがあります。

なぜなのでしょうか。詳しく見ていくことにしましょう。

ニキビとはなに?

私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という構造をしています。

このうち、一番外側に位置する表皮は、皮脂と汗で作られた皮脂膜で覆われています。

皮脂膜は、外の刺激や乾燥から肌を守る役割があります。これを「肌のバリア機能」といいます。

皮脂には、皮脂膜を作るという大切な役割があります。

ところが、何らかの原因によって皮脂がうまく外に出ることができずに毛穴に詰まってしまうと、炎症を起こしてニキビとなります。

ニキビの原因:皮脂が毛穴につまる理由

ニキビは皮脂が毛穴につまる理由は、大きく2つあります。

その1:過剰な皮脂分泌によって毛穴がつまる


皮脂は本来、肌を守る上で重要な役割を持ちますが、過剰に分泌されると、皮脂腺の出口から肌の表面に向かって出ていくことができなくなります。

すると、皮脂が毛穴の中につまり、ニキビの原因となります。

皮脂の分泌に大きく関係しているのが男性ホルモンです。男性ホルモンには、皮脂腺を活性化させる働きがあります。

男性ホルモンは、女性も持っているホルモンで身体にとっては必要なものです。

しかし、ストレスがたまることで男性ホルモンの分泌が過剰になると、皮脂腺の働きも活発になってニキビを引き起こしやすくなります。

また、男性ホルモンは女性ホルモンの影響を受けています。

ですから、とくにホルモンバランスが乱れやすい月経前の時期には、男性ホルモンも増え、ニキビができやすくなります。

その2:「過角化」によって毛穴がつまる


肌が厚く、硬くなることを「過角化」といいます。

肌が過角化すると、毛穴が小さくなって皮脂がつまりやすくなるため、ニキビができやすくなります。

過角化は、バリア機能の低下や新しい細胞が作られ、古い細胞がはがれ落ちる「ターンオーバー」の乱れによって起こります。

原因は複数ありますが、過度なストレス、偏った食生活、睡眠不足などの生活習慣の乱れも、過角化を引き起こす原因となります。

また、乾燥も肌のバリア機能を低下させます。

洗顔のし過ぎは、乾燥の原因となるため、過角化やニキビを引き起こされます。

これについて、下記で詳しくご説明していきましょう。

洗顔のしすぎでニキビは悪化する!?

必要以上に洗顔をしたり、間違った方法で洗顔を行っていると、かえってニキビを悪化させかねません。それは、次の理由のためです。

肌が乾燥し、バリア機能が低下する


洗顔は不要な皮脂を取り除く上で必要なスキンケアですが、1日に何度も洗顔をしたり、間違った方法で行っていると必要な皮脂まで洗い流してしまい、肌のバリア機能を低下させます。

すると、汚れや異物から肌を守る力が弱まり、毛穴に汚れがつまったり、菌が繁殖しやすくなってニキビの原因となります。

ニキビを刺激して、つぶしてしまう可能性がある


ゴシゴシとこするような洗顔方法は肌に刺激を与え、ニキビをつぶしてしまう可能性があるので注意が必要です。

つぶれたところから雑菌が繁殖し、ニキビを悪化させてしまいます。


では、このような事態を招かないためには、どのようなことに気をつけて洗顔すればよいのでしょうか?

正しい洗顔方法を知ろう!

毛穴のつまりを防ぐために、洗顔をする上で気をつけたいポイントをまとめます。

ポイント1:水は、熱すぎず、冷たすぎず!


熱いお湯で洗顔すると、皮脂を落としやすくなります。

反対にあまりにも冷たい水で洗顔すると、今度は皮脂が落ちにくくなります。そのため、35℃前後のぬるま湯を使うことをおすすめします。

ポイント2:洗浄料は泡立てて、優しく洗う!


肌やニキビを刺激しないために、洗浄料を使う場合はきめ細やかな泡を作って、優しく洗うようにしましょう。くれぐれもゴシゴシとこすらないようにしましょう。また、洗浄料を洗い流すときには、すすぎ残しにも注意です。

ポイント3:タオルでおさえ拭きを!


洗顔後、顔を拭くときもタオルでゴシゴシと拭かずに、優しくおさえるようにして拭きましょう。もちろん、清潔なタオルを使うことも忘れずに。

ポイント4:保湿も忘れずに!


洗顔後の肌は、乾燥しやすいため、肌のバリア機能も低下しやすくなります。そのため、しっかりと保湿し、肌の水分が逃げないようにしましょう。

ポイント5:洗顔は、1日2回まで!


1日に何度も洗顔を行っていると、肌の刺激にもなりますし、皮脂が奪われ過ぎてニキビの原因になります。

不要な皮脂を取り除いて肌を清潔に保つという洗顔の目的を考えた場合、1日2回程度にとどめておいたほうがよいでしょう。

これらはあくまでも一般的な洗顔の注意点です。

上記を参考にしつつも、ご自分に合った洗顔方法を見つけてみてください。

また、ストレスや生活習慣の乱れも、ニキビができたり悪化させる原因となります。

ニキビができると暗い気持ちになりがちですが、自分の生活を見直す習慣と前向きにとらえてみてはいかがでしょうか。


<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供