シニアの恋愛を子どもはどう受け止めたら(写真と本文は関係ありません)

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「あさイチ」(NHK)2017年2月13日放送
「親が、心配 〜親の恋愛・再婚〜」

死別したりして1人暮らしを続ける老いた親。いつまでも元気でいてほしいが、ある日、「結婚相手ができた」と打ち明けられたらどうします?

30年前に比べ、再婚する高齢者は男性で約6倍、女性で約3倍に増えている。「いいトシをして!」と切って捨てることなく、どうやって老親の恋愛・再婚と向き合えばよいのだろうか。

「お父さん、若い女にだまされないで」

番組では冒頭、東京・銀座で開かれた「60歳以上限定お見合いパーティー」の様子が紹介された。最近、こうした高齢者向けの婚活パーティーが盛んで、すぐに予約でいっぱいになるという。出席した男性の声を拾うと――。

「(妻と死別し)だいぶ長いこと1人でいます。定年退職後にほかにすることがありませんし、年金で2人合わせて月30万円くらいで暮らせます」
「子どもには子どもの人生があります。そこに親がいると、迷惑でしょう」

一方、街頭で「子ども世代」の30〜40代に「親が恋愛したらどう思うか」を聞くと、イヤそうな顔をする人が多かった。

40代女性「恋愛する分にはいいですよ。でも、結婚となると相続の問題が出てきますからね。もめるのは困ります」
30代女性「絶対イヤ。お父さん、若い女の人にだまされないで、お金目当てじゃないの、と言いたくなります」

こうした声に番組ゲストの秋野暢子と虻川美穂子は、それぞれ「親」と「子」側の立場からこう語った。

秋野「『大きなお世話』です。本人が幸せならばいいじゃないですか」
虻川「ウラを感じちゃう。親には生々しい男女になってほしくないです」

番組では、父親の再婚話に悩む30代女性カオリさん(仮名)の例が紹介された。母親の病死から5年、60代の父親から突然「付き合っている女性がいる」と告白された。写真を見ると若くてキレイ。父親は1人暮らしなので、最初は「支えてくれる人がいるなら」と祝福する気持ちが強かった。しかし、よく聞くと、女性は20歳以上年下の40代、バツイチ、子持ち。飲み屋で知り合った。父親は一緒にハワイ旅行に行ったり、ケーキや服を買ってあげたり、金遣いが荒くなった。そのうちカオリさんの兄に数十万円を借金するように......。

虻川「コレは困った。若い子と付き合ってうれしいのはいいけど、おカネでつながっているわけでしょう」
MCの柳澤秀夫キャスター「親の立場で言いますよ(笑)。高齢になってあきらめていたら、20歳も下の女性との出会いがあった。せっかくつかんだ幸せ、これを逃すともう出会いはない。カネを注ぎ込む気持ち、わかります。いい思い出にしておけばいいのになあ」
スタジオ一同「無理、無理でしょ」

「結婚生活が1日でも50年間でも相続権は同じ」

宇都宮市で中高年専門の結婚相談所を開き、25年間で約1500組のカップルをまとめた斎藤尚正さんがこう語った。

斎藤さん「印象に残っているカップルがいます。65歳の男性。奥さんをがんで亡くし、娘さんと2人暮らし。さみしくて仕方ない。いい縁があり、お付き合いを始めると、娘さんが人変わりしました。『財産はどうなるの!』と猛反対。結局、破談になり、親子も断絶、父親は現在ノイローゼ状態です」

老親の恋愛・再婚話で一番トラブルになるのが財産相続の問題だ。リポーターの中谷文彦アナが相続の基本知識を図で説明した。妻に先立たれた男性に4000万円の財産があったとする。子どもが2人いると、子どもに2000万円ずつ相続される。再婚話が持ちあがり、後妻が来ると、財産の半分2000万円が後妻に渡り、子どもたちは1000万円ずつになる。後妻に子どもがいると、後妻の2000万円はその子どもに相続される。

柳澤キャスター「仮に再婚期間が1日しかなく、父親がすぐ死んでも後妻に半分がいくのですか?」

相続問題に詳しい本橋美智子弁護士がこう解説した。

本橋弁護士「法律ではその通りです。結婚生活が1日でも50年間でもまったく同じです」
MCの井ノ原快彦「理不尽ですね。途中から来て、半分も持っていっちゃうなんて」

そこで、本橋弁護士が相続でもめないようにする3つの方法をアドバイスした。

(1)生前贈与する。あらかじめ親が生きている間に財産を贈っておく。遺産の前渡しだ。子ども世代は教育費や住宅ローンでお金が必要だ。一度に前渡しすると、大きな贈与税がかかるので、非課税枠がある「暦年贈与」「子育て資金贈与」「教育資金贈与」「住宅取得資金贈与」などを活用するとよい。

井ノ原「生前贈与してからお見合いパーティーに行け、というわけね」

(2)婚姻届を出さない事実婚にする。相続権が発生しないので、子ども側にとっては安心だ。ただし、パートナーの遺族年金の受取人になれるなどの権利は生まれる。また、親側のデメリットとして、パートナーの介護や治療方針の決定権がないなど、子どもとの間にトラブルを抱えやすい。

「後妻に無理やり遺言を書かされたらどうする?」

MCの有働由美子アナ「私、事実婚の後妻さんの気分になってきました。介護を一生懸命してきたのに、あんたたち子どもは何もしなかったじゃない、それなのに全部財産をもっていくの、という気持ちはどうすればいいんですか」
本橋弁護士「だからこそ、第3の方法の遺言に書き残しておくといいです」

(3)遺言に財産分与を具体的に指定する。法的には相続権のない事実婚の相手にも分与できる。金融遺産は分けやすいが、相続で一番もめるのは、分けにくい家屋や土地などの不動産。特に、事実婚の後妻が父親と一緒に暮らした家に、父親が死んだ後も住み続けている場合がもめやすい。

柳澤キャスター「後妻に無理やり遺言を書かされた場合はどうするの?」
スタジオ一同「(大いにうなずき)そう、そこよね〜」

ここで、中谷アナが大声でストップをかけた。

中谷アナ「皆さん、お金の話ばかりで大事なことを忘れていませんか。それは、親御さんの『気持ち』、恋愛をしたい『気持ち』です。親の恋愛を全然受け止めようとしないではないですか」

番組では、父親の「恋心」を温かく見守り、その経緯をエッセイ漫画『父が、67歳で恋をした。〜まさかのシルバー婚活ものがたり〜』に描いた漫画家の真知子さん(32歳・ペンネーム:becco)が登場した。父親の稔さん(71歳)は8年前に妻をくも膜下出血で失った。4年前に婚活サロンで、ユリコさん(仮名・60代)と出会い、付き合い始めた。真知子さんは稔さんの婚活と恋愛を受け止めるために2つのことを心がけた。

父の恋を見守るために娘がした2つのこと

真知子さん「1つ目は、父に面と向かって女性のことを聞くことです。『恋人ってどんな人?』『怪しくない?』『お金目当てじゃない?』とストレートに聞くのです。実際、父が付き合うのをやめた人もいました。2つ目は自分の目で確かめることです。父の了承を得て、どんな人なのか、1人で相手の女性に会いに行きました」

ユリコさんと会った時、「私もあなたに会いたかった」と言ってもらった。真知子さんは亡くなった母親の話をして、ポロポロ泣いてしまった。

真知子さん「父には1人で覇気のない余生を送ってほしくありません。ユリコさんは父を支えてくれるありがたい存在です。『第2のお母さん』かな」

今のところ、稔さんとユリコさんは一緒に暮らしていない。婚姻届も出すつもりはない。事実婚の関係だ。

真知子さん「たぶん、父は一緒に住むとケンカして、しんどくなるからではないでしょうか。ちょうどよい距離を保っていると思います」
稔さん「娘の行動がものすごくうれしかったです。私の幸せを考えてくれて。ユリコは女房みたいな感じです。一緒に住めない女房みたいな...」

ゲストの秋野暢子が最後に言った。

秋野「すごくアダルトなお付き合いで、いい感じですね」