創業90年を超えるドイツの老舗ヘッドホン&イヤホンブランド、beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)から、独自技術のテスラテクノロジーを搭載するハイエンドイヤホン「Xelento(エクセレント) remote」が登場。18日にフジヤエービックが開催した「ポタ研2017冬」(中野サンプラザ)の会場でお披露目されました。

↑メタリックな輝きの「Xelento remote」

 

本機は今年1月にアメリカで開催されたイベント「CES」に出展され、日本での発売のアナウンスが待ち望まれていましたが、同社製品を国内で扱うティアックから3月下旬に発売を予定していることが明らかになりました。想定売価は「現在検討中」。同社でベイヤーダイナミックブランドを担当する松野陽介氏は「ヘッドホンのT1 2nd Generationを目安(直販サイト価格は14万400円)に、そこからできる限りお客様にお求めやすい価格に設定したい」とコメントしています。

↑新製品の特徴を説明するティアックの松野陽介氏

 

ハイエンドヘッドホンの技術を継承

「テスラテクノロジー」は、振動板を正確かつパワフルに駆動するため、「1テスラ(1万ガウス)」を超える強力な磁束密度を効率よく生み出し、歪みのないサウンドを実現すために、ベイヤーダイナミックが独自に開発した技術です。2009年に発売されたオーディオヘッドホン「T1」に搭載されて以来、最新のプロフェッショナル向けヘッドホン「DT 1990 PRO」、コンシューマー向けヘッドホン「AMIRON HOME」などベイヤーダイナミックを代表する上位クラスのモデルに採用され、名を馳せてきました。このたびは技術をブラッシュアップした最新のテスラテクノロジーを搭載。初めてベイヤーダイナミックのブランドから、テスラテクノロジーを搭載するイヤホンが登場する運びとなりました。

↑テスラテクノロジーは磁束密度をコントロールして、ヘッドホン・イヤホンのドライブ力を高めるベイヤーダイナミックの独自技術

 

形式はダイナミック型ドライバーを搭載する密閉型イヤホン。再生周波数帯域は8Hzから48kHzまで、いわゆるハイレゾの帯域をカバーしています。海外ブランドのオーディオ機器としては、今のところはまだ珍しく日本オーディオ協会が推進する「ハイレゾロゴ」を取得しています。インピーダンスは16Ω、感度は110dB。ポータブルオーディオプレーヤーだけでなく、スマートフォンでも比較的鳴らしやすいように設計されています。

↑Xelento remoteのパッケージ。JASが推進するハイレゾロゴがプリントされている

 

その特徴はいままでヘッドホンに搭載される大きなサイズの振動板に採用されてきたテスラテクノロジーを、そのパフォーマンスを犠牲にすることなくイヤホンのサイズに凝縮したところにあります。ヘッドホンのT1と比べて、基幹パーツであるリングマグネットは約16分の1に小型化。そのサウンドは緻密な高域、クリアで情報量の多い中域に、深みのある低音が自然にバランスよくつながる印象を受けました。

 

実はテスラテクノロジーを搭載するイヤホンは、Astell&Kernがベイヤーダイナミックとのコラボレーションにより商品化した「AK T8iE MkII」というモデルが既に発売されています。今回ベイヤーダイナミックブランドから発売された「Xelento remote」は外観がAK T8iE MkIIによく似ていますが、ハウジングのカラーリングやケーブルの色がより明るくなっています。

 

そして最大の違いはサウンドであると筆者は感じました。ティアックの松野氏によれば「Xelento remoteにはブラッシュアップされた最新世代のテスラテクノロジーが搭載されている」といいます。その効果が大きく影響しながら、そのうえベイヤーダイナミック独自のチューニングが施されたことがサウンドの差別化につながっているのではないでしょうか。ボーカルのハイトーンの煌めき、インパクトの豊かな低域など聴かせ所をしっかりと押さえた音楽性豊かなサウンドは、さすがベイヤーダイナミックのフラグシップイヤホンと納得させられるクオリティです。

 

ケーブルは着脱式で、端子の形状はMMCXを採用。パッケージには1.3mの3ボタンマイクを搭載するリモコン付ケーブルと、リモコン無しのケーブルが1本ずつ同梱されています。いずれのケーブルも芯線には銀コートOFCを採用。外部ノイズを低減するアウタージャケットの効果が信号のロスを低減、伸びやかな中高域再生に結びついています。

↑リケーブルの端子には汎用性の高いMMCXを採用

 

製造はベイヤーダイナミック本社の工場で1台ずつハンドメイドで組み立てられています。ヘビーな環境に晒されることの多いプロフェッショナル向けのモニターヘッドホンも数多く手がけてきたベイヤーダイナミックらしく、ケーブルはおよそ4万回の曲げ試験により強度も徹底チェック。品質に絶対の自信をアピールしています。

 

快適な装着感を実現するために、ハウジングの外形は多数の耳型サンプリングを解析しながら人間工学設計を採用。装着の際に耳にかかる負担が軽くなるので、長時間リスニングもストレスなく楽しめます。同梱品もとにかく充実しており、傘が独特の形をしている楕円形シリコンイヤーピースがXSから3XLまで7種類、Complyのフォームチップも3つのサイズを付属。ノズル先端の保護グリルが取り替えられるよう交換パーツを付属したほか、専用のセミハードケース、ケーブルクリップなども一式が付属してきます。

↑付属品がとても充実しているところがベイヤーダイナミックの高級イヤホンらしい。セミハードタイプのキャリングポーチや、リモコンなしのケーブルも同梱する

 

ティアックの松野氏は、「テスラテクノロジーを搭載するイヤホンは、日本のベイヤーダイナミックを愛するファンの声を当社が代弁するかたちでずっとベイヤーダイナミックに贈り続けてきたラブコールでした。数年前にメーカーの開発者に進言した時には、テスラテクノロジーをイヤホンに乗せるほど小型化できないから無理だと断られたものですが、長い時間をかけて“ベイヤーダイナミックのテスライヤホン”をあきらめずに形にしてくれた彼らの底力に敬意を表したいと思います。Xelento remoteはイヤホンの常識を越えるほどの高い解像感とスケールの大きなサウンドが特徴です。その姿や音の響きはまるで宝石のよう。ベイヤーダイナミックの新しいフラグシップを所有する喜びをぜひ感じて欲しい」とアピールしていました。

↑会場にはXelento remoteの“貴重品感”を伝えるために警備員(注:ティアック社員のコスプレ)も配備された