「寒い日が続くと汗をかかなくなるので、水分を摂取する回数が減る。さらに暖房器具を長時間つけっ放しにしていることも多く、空気も乾燥しているため脱水状態になりやすい。このように体内の水分が減ると、便秘になりやすくなるのです」(健康ライター)
 成人は通常、1日1回の排便があるが、便秘症となると数日に1回程度と少なく、間隔も不規則で水分含有量も低下している。そのような状態で何とか排便しようとトイレでいきむと、心臓に大きな負担がかかるという。軽くいきんだだけで、最大血圧が60〜70㎜HG以上アップするという報告もあるため、決して甘く見ることはできない。

 都内で総合クリニックを経営する医学博士・久富茂樹院長はこう言う。
 「冬は普段すごしている場所に比べ、トイレの室温が低い場合が多いので、ただでさえ血圧が上がりやすい。心臓にトラブルがあって、普段から薬を服用している患者さんは、さらに注意が必要です。しかも、心臓の治療に使われる薬には、副作用として便秘を起こすものも多いですからね」

 慢性心不全の治療などで使われる利尿剤は、体内の水分を尿として強制的に排泄させようとする。すると、減少した水分を補うために大腸からの水分吸収が促進され、大腸内の水分が減って便が硬くなり、便秘を引き起こす。
 「加えて、心臓の負担を軽減させるために水分摂取制限が行われている場合も多いので、さらに便秘になりやすい状態に陥る。ただ、便秘といっても症状の現れ方や排便回数には個人差があり、専門家に言わせても明確な定義があるわけではありません」(前出・健康ライター)
 人にもよるが、3日間の便秘でお腹が重く感じ、下剤などを飲む人もいれば、さらに長い人では1カ月便秘という人もいる。その場合、便は黒っぽく、コロコロした便になることが多い。また、排便が2〜3日に1回で、それが硬くても軟らかくても何の苦痛も感じない場合もある。

 2008年の日経新聞に、便秘に関してこんな内容の記事が掲載され注目された。
 〈肝機能の低下に、一見関係がなさそうな便秘が拍車をかけることはあまり知られていない。国内に3000万人の患者がいると言われる脂肪肝になると、肝硬変、肺がんなどにつながる恐れもあり、便秘の悪影響を無視するわけにはいかない。肝臓をいたわりながら便秘も防ぐには、食事内容を含め生活習慣をどう改めればよいのか研究する必要があるのではないか〉

 昭和大学病院総合内科の外来担当医がこう説明する。
 「便秘には当然、生活習慣が大きく関わってきます。そのため食事の質や内容、そして運動などについても認識を高める必要がある。また病気に関しても、心臓の病はもちろん、体外に排出されるアンモニアなどの有害物質(毒素)が肝臓に運ばれ、そこに滞留した場合、胃や腸、肝臓に負担をかけることになります」