トランプの次なる敵は“多国籍企業”!? TPP離脱の真の狙い

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「経済×地理」で、ニュースの“本質”が見えてくる!仕事に効く「教養としての地理」

地理とは、農業や工業、貿易、交通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問です。

地理なくして、経済を語ることはできません。

最新刊『経済は地理から学べ!』の著者、宮路秀作氏に語ってもらいます。

なぜ、トランプ大統領はTPPから離脱するのか?

 「アメリカ合衆国にとって、TPP協定は大きな災いとなる。だから離脱する!」 
 
 トランプ大統領はこう述べました。そして続けます。

「アメリカ合衆国に雇用を取り戻し、産業を復活させる公平な2国間協定の交渉を進める! 」

 なぜ、トランプ大統領はここまでTPP協定を否定するのでしょうか?

 TPP協定とは、環太平洋戦略的経済連携協定の略称です。元々は、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイの4カ国で始まった経済連携協定(2006年5月発効)でした。

 ここにアメリカ合衆国が参加表明したことで拡大交渉が進められ、日本やアメリカ合衆国、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア、カナダ、メキシコの8カ国が交渉国として追加されました。

 これら12カ国の交渉参加国が世界に占める割合は、人口が約11%、GDPが約36%、貿易額が約26%となり、世界最大規模の自由貿易圏が実現する見通しでした。

 TPPの特徴は、モノ以外にもサービスや投資など21に及ぶ分野で、貿易の自由化を目指していることです。

トランプが進もうとしている道

 トランプは共和党から立候補します。共和党は伝統的に白人の支持を集めて勝ってきました。トランプの勝利もこれでした。

 トランプは、特に経済のグローバル化が進む世界において、アメリカ合衆国の経済の低成長や格差拡大の要因は移民の存在にあるとして、選挙を戦いました。

「もう一度、強いアメリカを創るんだ!」と声をあげました。

 トランプと同じ共和党から選出された、第40代アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンは、「1.小さな政府、2.規制緩和、3.自由貿易、4.減税、5.アメリカ軍の増強」を掲げていました。

 トランプは、レーガン元大統領と同様に、規制緩和や減税、アメリカ軍の増強を掲げています。

 しかし、小さな政府と自由貿易に関しては否定的で、大きな政府、保護貿易主義を掲げています。公共投資の拡大を掲げ、10年間で1兆ドルもの公共投資をすると明言しました。

 これによって、GDPが4%成長すると見込んでいます。また保護貿易主義であるため、TPP協定のような自由貿易には反対なのです。

 そもそもTPP協定には、自由貿易圏を創り出すという目的がありますが、実態は、大企業が加盟諸国の政策に介入できる「大企業覇権」の体制構築です。TPP協定は、企業が政府よりも大きな力を持ってしまう可能性があるのです。これでは大きな政府を実現させることは難しくなります。

 トランプはTPP協定からの離脱だけでなく、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉、あるいは離脱の考えも持っています。

 NAFTAもまた、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコとの間で自由貿易圏を創り出したものです。

「アメリカの雇用」を守りたい

 さらに、「アメリカ人労働者の解雇を阻止するための関税」をかけることを明言しました。

 例えば、A社が低賃金労働力を求めて、B国に工場進出し、そこで生産された工業製品をアメリカ合衆国に輸出する際には、関税がかかるということです。

 これは、企業の海外移転を防止する意味があります。さらに不法移民の防止策として、アメリカ合衆国南部のメキシコとの国境に壁を建設するとしています。他にもまだまだあります。

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