横浜流星は、謎の青年・幸介を演じる

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奈良県の葛城地域を舞台に描かれる映画『天使のいる図書館』は、少し人と感覚がズレている新人司書・さくら(小芝風花)がレファレンスサービス(※)を通して1人の老婦人(香川京子)と心を通わせていく感動の物語。あらゆる作品に引っ張りだこの若手俳優・横浜流星が今作で演じるのは、そんな2人の関係に大きな影響を与えることになる謎の青年・幸介役だ。葛城の美しい景観と共に展開されるストーリーの中で、彼が最も奮闘したこととは?

幸介は、バック一つで日本中を旅している

――映画は葛城の景色が存分に生かされた、とても温かな物語ですね。

本当に温かくて濃い人間ドラマが描かれている作品だと思いました。僕は奈良へは小学校の修学旅行以来で、葛城を訪れたのは初めてだったんですけど、ロケで葛城山や葛城一言主神社(かつらぎひとことぬしじんじゃ)などに行けたときは「あぁ、すごく素敵な場所だな」と感動しました。2週間ほどずっと葛城にいて新しい景色や環境に触れられたのも、うれしかったです。

――その中で幸介をどんな風に演じようと心掛けられましたか?

幸介は一見、小芝さん演じるさくらのストーカーのように見える役でして…。いや、実際はちゃんとした目的があって行動しているんですよ!? でも最初の方はそれが分からない設定だったから、ちょっと不気味に見えるように意識して演じました。少しうつむきがちだったり、元々猫背気味だったのを、さらに極端にしてみたり。そういうちょっとした仕草で絶妙な気持ち悪さ加減を出してみたので(笑)、そこはチェックしてみてもらいたいですね。

――最初「え、あれ横浜さんだよね!?」と戸惑うくらいに顔が見えない感じで映っていたのは、そういう狙いがあったからなんですね。

そうなんです! さくらが「あの人に付けられてるのかな?」と思うように、映画を見ている方にも「何なんだコノ人は!?」と感じてもらいたくて。監督とも話し合いましたし、自分でもわざとチラッとしか顔が見えないような角度をつけたりして。ただあんまりやりすぎると後々の物語に影響してしまうので(笑)、本当の顔との加減を調整するようにも気を付けました。

――幸介が担いでいるやたら大きなリュックもインパクト大でした。

確かに(笑)。幸介はバック一つで日本中を旅している、という人でもあるんです。撮影用に使ったリュックの中にはそんなに物は入っていなかったけど、それでも意外に重くて。実際に同じような形で旅するのはすごく大変だろうなって思いました。バックパッカーの方々に体力がある人が多いというお話も頷けましたね。

――ちょっと自分も旅してみたいなと思いました?

そうですね。僕も見たことない景色を見るのが好きですし、自然も好きなので。あの格好をすることで自分もいつか時間を掛けて旅をしてみたいなって感じました。

――物語は図書館が舞台ですが、横浜さんの中での図書館のイメージは?

本当にいろんな方が来られる場所だな、という印象です。実家の近くにも図書館があって、小学生の頃はよく行っていました。今はことし受験を控える弟が「集中できるから」と、ずっと図書館に通って勉強していますね。

――レファレンスサービスについてはご存知でした?

僕、全然知らなかったんです。小学校のときはそんなのなくて、「この本ありますか?」って聞いたら「そこら辺を探したらあるでしょ」って言われた記憶がある(笑)。こういう親切で素敵なサービスがあると、自然と『もっと図書館に行きたい』と思う人が増える気がしますね。

――横浜さんが今、レファレンスをお願いするなら?

…日本の政治について教えて欲しい。いやっ、違う違う(笑)! あの、宇宙が好きなので、詳しく知れる資料を教えてもらいたいです。火星の土地を買うにはどうしたらいいのかとか、いつごろ住めるようになるんだろう? とか、そういうことにちょっと興味がありますね。昔から分からないことをそのままにしておくのは嫌なタイプなので、本当に調べ始めたらトコトン読んでしまいそうです。

――逆に最近の自分の“特別な一冊”は?

吉田修一さんの小説『怒り』でしょうか。映画が公開される前に読んでいたんですけど、すごく面白くて、いろんな衝撃を受けました。普段はあまり小説を読まないので読み切るのに時間が掛かってしまうんですけど、この本の世界観にはドップリとハマってしまって。今後もどんどん読んでいろんな作品に出会っていきたいなと思いました。

――ちょうどこの作品も“本”が一つのキーポイントになっていますもんね。

そうですね。僕自身、図書館を通して描かれる一人ひとりの人間ドラマに胸がキュッと締め付けられました。香川京子さんや森本レオさんなどの大先輩のお芝居を間近で見られたことも、とても勉強になりましたし。ここでの経験を生かして、今後もしっかりといろんな役を演じていきたいです。