錦織圭を筆頭に、日本テニス界の本当の黄金時代はこれから始まる!(写真/日本雑誌協会)

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日本が、いや世界が涙した全豪オープンでの錦織圭とロジャー・フェデラーの激闘ーー。

確かに錦織はすごい。しかし、日本国内にだって世界と互角にやり合える若き天才が出てきている! 錦織に続く、次世代のスターはコイツらだ!

■錦織圭が開いた世界への扉

錦織圭の活躍が圧倒的な注目を集めるなか、実は今、日本男子テニス界には史上まれに見る事態が起こっている。昨年、23歳(当時)のダニエル太郎がリオ五輪でベスト16に進出したかと思えば、綿貫陽介が弱冠18歳で世界スーパージュニア選手権と全日本選手権を制覇するなど、若手選手の躍進が止まらないのだ。

彼らの台頭の理由はなんなのか? 1998年全日本選手権ダブルス優勝者で、ジュニアテニス事情に詳しい石井弘樹氏はこう語る。

「錦織選手の存在が若手選手の成長に果たしている役割はとても大きい。彼のおかげで格段に強くなったテニス日本代表は、国別対抗戦のデビスカップでもランキング上位の国と戦う機会が増えました。なので若いうちから日本代表に入れれば、普段はなかなか対戦する機会のない世界のトップ選手ともデビスカップで対戦できる。

実際にダニエル太郎選手はイギリスのアンディ・マレー選手と昨年対戦しましたが、そうした経験は成長期の選手にとって非常に大切なんです」

さらに、錦織の影響についてもテニスジャーナリストの内田暁氏がこうつけ足す。

「綿貫陽介選手や高橋悠介選手もそうですが、『四大大会で優勝したい』とハッキリ口にする若手選手が増えています。これは錦織選手が世界のトップで戦っているのを見ているから。彼の活躍が、若い選手たちのモチベーションになっているんです」

錦織が若手選手の成長に一役買っていることはわかったが、となると次に気になってくるのが、どの選手が今後世界に出ていくのかということだ。前出の内田氏はこう語る。

「テニス選手のピークは26、27歳なので、20歳前後である程度活躍している選手も、最終的にどのくらい伸びるのかはなんとも言い難いんです。ただ、そのなかでも、サンティラン晶(あきら)選手は海外の格上の選手にも劣らないパワーを持っています。強力なサーブとフォアハンドは世界レベルと言っても過言ではありません。

あとは綿貫選手。彼もまた、豪快な攻めに目が向けられがちですが、最近はディフェンス力の向上に力を入れている。錦織選手も『綿貫君は特にディフェンスのときのフォアがうまい』と称賛していました」

すでにトップ100位以内に入った経験をもつ西岡良仁、ダニエル太郎以外にも将来有望な選手が出てきて、日本テニス界の層が厚くなっていくことは間違いなさそうだ。そこから世界トップレベルの選手が生まれるチャンスもきていると前出の石井氏は語る。

「世界トップクラスの選手が育つためにはその選手の才能も必要ですが、同時に育成のための環境が重要なんです。しかし日本には、まだそうした環境が十分に整っていない。ただ、今は東京五輪に向けてJOC(日本オリンピック委員会)からも金銭的な支援が得られる。お金をかけて日本のテニスを変えられるチャンスなんですよ。

今の日本では、大きな筋肉をつけて、足で粘ってポイントを取るテニスが主流ですが、海外ではラリー中のタイミングの外し方や戦略を重視したテニスが主流になってきている。国内での勝ち方ではなく、海外での戦い方をこの機会に若手選手に教えることができれば、世界で戦える選手はもっと増えていくでしょう」

日本テニス界に、第二、第三の錦織が生まれる日は遠くない!

■錦織圭に続く、次世代のスター

★燃え盛る小さなファイター 西岡良仁(21歳)

生年月日:1995年9月27日 身長/体重/利き手:171cm/63kg/左 最高ランキング:99位(2月13日現在)ひとくちメモ:推しメンは西野七瀬(乃木坂46)

●ミスを絶対にしないという美学

ATP(世界男子テニス協会)の次世代を担う若手チーム“Next Gen”にも選ばれ、国内ランキングでは錦織圭に次ぐ2位。171cmと小柄だが、フットワークと、左利きならではの特殊な回転のボールで弱点をカバー。「ミスする自分が許せない」と語るほど負けず嫌いな性格ゆえ、かつては試合中にフラストレーションで集中力を切らすこともあったが、現在はその性格をガッツあふれるプレーに昇華させている。乃木坂46の大ファンで、西野七瀬推し。彼女の写真集を試合前に見てリラックスする。

★マイペースな巨人 ダニエル太郎(24歳)

生年月日:1993年1月27日 身長/体重/利き手:190cm/76kg/右 最高ランキング:116位(2月13日現在) ひとくちメモ:猫よりも犬派

●多様な文化に触れて育った寛容なメンタル

アメリカ人の父と日本人の母を持つ。アメリカで生まれ、12歳まで日本で育ち、その後はスペインのテニスクラブで腕を磨いた。昨年夏のリオ五輪ではベスト16に進出。メンタルの強さに定評があり、長丁場の試合も苦にしない粘り強いテニスが持ち味。目標のランキングは設定せずに、焦らず自分のペースで努力を重ねてきた。ハードロックと動物をこよなく愛しており、レッド・ツェッペリンの大ファン。現在は猫を飼っているが、将来的には犬も飼ってみたいと考えている。★一撃必殺のフォアハンド 綿貫陽介(18歳)

生年月日:1998年4月12日 身長/体重/利き手:181cm/63kg/右 最高ランキング:591位(2月13日現在)ひとくちメモ:親指が腕につく

●テニス大好き綿貫3兄弟の最終兵器

昨年、弱冠18歳で全日本選手権を制覇した話題沸騰中の逸材。親指が腕につけられるほど柔らかい手首から、200キロを超えるサーブと、錦織圭に「日本人で一番すごい」と言わしめた強烈なフォアハンドが繰り出される。寿司が大好物で、埼玉県春日部市のダイマル水産にしばしば通っている。太りにくい体質なのが悩み。2017年は大好きなすしやすき焼きをたくさん食べ、本格的に体づくりを始める予定。苦手な食べ物はピーマン。兄の綿貫裕介、敬介もプロテニス選手。

★アキラ・ザ・バズーカ サンティラン晶(19歳)

生年月日:1997年5月22日 身長/体重/利き手:180cm/77kg/右(片手バックハンド) 最高ランキング:194位(2月13日現在) ひとくちメモ:日本語よりも英語のほうがうまい

●ポテンシャルは日本テニス界最高クラス

父はオーストラリア人、母は日本人のハーフ。一昨年から昨年にかけて、ランキングを615位から208位までジャンプアップさせた、ノリに乗っている19歳の新鋭。背中の筋肉がボディビルダーのごとくモリモリに膨れ上がっており、その規格外の身体から215キロの高速サーブが繰り出される。パワーだけを見れば、十分世界のトップクラスの選手にも引けを取らない、日本男子テニス界の期待のホープ。片手バックハンドの技術の向上とメンタルコントロールがさらなる飛躍の鍵か。

★日本式テニスの後継者 高橋悠介(19歳)

生年月日:1997年10月17日 身長/体重/利き手:170cm/68kg/右 最高ランキング:420位(2月13日現在) ひとくちメモ:アリアナ・グランデが好き

●目標は世界ランキング1位

走って走って、ラリー戦のなかで相手を崩していく日本テニスの主流スタイルで、プロ1年目にしてベトナム、タイと2度の国際大会で優勝し、ここ1年だけでランキングを1355位から一気に420位までジャンプアップさせた。上昇志向が強い。精神的な粘りが持ち味で、長時間の試合でも集中力を切らさずに質の高いショットを打ち続ける。明るく素直な性格で、ラケットメーカーの担当者やテニス業界関係者内では愛されキャラ的存在。読書家でもあり、好きな作家は東野圭吾。

★カラテ・テニス 堀江亨(17歳)

生年月日:1999年5月18日 身長/体重/利き手:170cm/59kg/右 最高ランキング:世界ジュニアランキング25位(2月13日現在) ひとくちメモ:昔、クラシックバレエも習っていた

●軸のブレない精密機械

2016年のワールドスーパージュニア、男子ダブルスの部で準優勝を飾った日本ジュニアテニス界のホープ。アメリカ留学時代の錦織を3年間指導していた米沢徹氏に指示を仰いでおり、米沢コーチからは「成長スピードは錦織以上」と評されている。通常、利き手側に筋肉が集中してしまうため、テニス選手は重心が崩れがちだが、堀江は体のバランスが非常に安定している。それは、彼が小学生時代に空手を習っていたため、全身の筋肉が満遍なく発達していることにも起因している。