ユニクロスペイン進出を報じる「El Confidencial」紙

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 スペインの2月14日付けで数紙によって、ユニクロが今秋バルセロナで1号店をオープンすることが報じられた。

 実は、ユニクロスペイン進出の話は、2014年から「日本のZARA」がスペインに進出するとして紙面でも取り上げられるようになっていた。そもそも「ユニクロ」というブランドはスペインでは十分に浸透していないため、スペインの消費者に分かり易いように報道メディアはユニクロのことを「日本のZARA」と呼ぶようにしていたのだ。もちろん、それがファースト・ファッション業界では世界で3位に位置していることも常に言及されていた。そのため、「ユニクロ」という名前自体はそこまで浸透していなくても、スペインではその存在は意外と知られているのである。

 当初から1号店はバルセロナだと噂されたが、その後カタルーニャの独立問題で企業がそこから去っていることなどもあり、マドリードに開設されるという報道もされるようになっていた。噂は二転三転したが、今回のメディアの報道からその疑問は解かれた形だ。

 ユニクロの1号店は4つのフロアーを利用した、売り場面積1730平方メートルとなる。バルセロナでガウディーの建造物もある一番お洒落な通りとされているパセオ・デ・グラシア通りに開設されることになっている。

◆ZARAのライバルとして周知

 電子紙『Fashion Network』は、創業者の柳井氏がスペインを代表する通信社EFEのインタビューに答えて次のように語ったことを報じている。

<「1991年だったか1992年だったか、私の家族とバルセロナを訪問した時から、そこで店を開設したいと望むようになっていた。(店を開設することになって)とても感動している。(バルセロナは)非常に芸術的で、美しく、開放された都市である」>

<「言葉の問題と(日本からの)直行便がないということもあって、スペインへの進出が遅くなったのは確かである」>(※筆者注:日本からの直行便については、昨年10月からマドリードと東京を結ぶイベリア航空の週3便の運航が20年ぶりに再開されている)

<柳井氏が大成功を収めているZARAの国についに到着したことへの感動を強調している>

(参照:「Fashion Network」)

 柳井氏の次の目標はバルセロナとマドリードで店舗を増やして、ヨーロッパで6番目の進出する国で伸展させることだとしている。英国、フランス、ベルギー、ドイツ、ロシアが現在ユニクロがヨーロッパで店を構えている国である。

 1884年に広島で1号店を開設して以来、現在まで世界で1800店舗を有している。2016年度の年商は173億1000万ドル(1兆9900億円)ということも各紙は報じている。因みに、ZARAを含めた親会社INDITEXの2015年度の年商は、およそ2兆6000億円となっている。

 柳井氏の目指す目標の一つは2020年までにZARAを売上で追い越すことであるという。そして、中国においてはユニクロとZARAが互角の勝負を展開しているということは、スペインでもこの業界を良く知っている関係者の間では良く知られたことである。

◆スペイン各紙も気になるZARAとのライバル関係

『El Español』電子紙は柳井氏が<「ZARAはファッションを売っている。我々はファッションの要素を備えたアパレルを売っている」>と述べて、双方が直接の競争関係にないことを同氏が挙げていることを取り上げた。(参照:『El Español』)。

 また、『El Confidencial』電子紙では両社の違いとして次のようなことを言及している。<ZARAは消耗の早い、最新流行のアパレルを提供し、ユニクロは品質を優先し、それに耐久性を加えたアパレルを提供している>。更に違いとして、<ZARAは3週間で新しいアパレルを店に収めることが出来る。ユニクロは新しいアパレルを生むのに8か月から12か月が必要となっている>と指摘した。そして、柳井氏がスペイン進出について、<「スペインは我々にとって未知の国だ。しかし、スペインでのショップ展開がラテンアメリカそして、強いてはアフリカへの進出の橋渡しに成ることを期待している」>と述べたことも報じている。(参照:『El Confidencial』)

 もちろん、スペインでユニクロのライバルになりそうなのはZARA以外にもある。Mango、Priority、Desigualなどのブランドが、ユニクロのスペインでの発展を充分に邪魔する可能性を持っている。

 また、筆者の個人的な見解であるが、ユニクロが品質と耐久性をより強調するのであれば、最初にマドリードに進出していた方が正解だったかもしれない。というのも、バルセロナでは余りにもファッション性を前面に出し過ぎる傾向があるからだ。

 因みに、MangoもDesigualもバルセロナで誕生した企業である。また、消費人口においても、マドリード市は320万人に対し、バルセロナ市は162万人でしかない。

<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。