勝利へのラインを4回転2種、100点超えまで押し上げ、人類の限界に挑戦する真・4回転時代最高じゃないかの巻。
ひとりではのぼれない高みへ!

真・4回転時代。いい名前をつけたものです。RPGの武器の強化版みたいなわかりやすさ。これがきっと最強の武器なんだろうという真っ直ぐな響きがある。僕は自分個人の欲とか煩悩をヨソにおいて、この時代を歓迎するものです。高みを目指さない競技に未来はない。今日より明日へ、超えていってこそ価値がある。超えるための奮闘があってこそ、立ちはだかる歴史上の壁に敬意が生まれる。

フィギュアスケート四大陸選手権・男子シングルSPは、まさに真・4回転時代の戦いでした。結果は必ずしも大満足ではありませんが、「こうこなくちゃな」という喜びも実は感じています。複数種類&複数回の4回転ジャンプを決めた者だけが勝つ。そういう時代がきたのだと。

真・四回転時代の戦いは人類の限界への挑戦となるものです。多くの競技で「ひねり」はこの辺で頭打ちになるからです。体操で言えば白井健三選手のゆかの大技シライ/グエンは「伸身後方宙返り4回ひねり」ですし、飛込競技の難易度表では4回半ひねりが最高難度の扱いになっています。スノーボードのような大きな台から跳び出す競技でも横5回転をできる選手はほんのひとにぎり。

およそ人力でやるうえで5回ひねりというのは、まずもってないのです。ましてやそもそもの高さを与えられない、地面から跳び出す競技においては5回ひねりを期待するのは難しい。「できるかもしれないが、試合では使えない」そんな領域です。その意味で、フィギュアスケートが真・5回転時代を迎える日はこないでしょう。「真・4回転」は「真・フィギュアスケート」である。ここが人類の最終決戦場です。

人間には老いという制約があります。どんなに優れた素材も30歳、40歳ともなれば衰える。若いうちに何ができるか。どういう環境であるか。それが素材の到達点を大きく左右する。3回ひねりだけで勝てる時代なら、4回ひねりを目指さないかもしれないし、4回ひねりさえできれば勝てるなら、4回ひねりの種類を増やすことは考えなかったかもしれない。

みんながそこを目指すように仕向け、実際にそうなったことで、自分自身もまた限界に近づくチャンスを得た。僕は「真・4回転時代」をそういう風にとらえています。この戦いを全盛期にむかえられて本当によかったなと。勝てそうな相手に勝ったって面白くない。負けそうな相手に、互いの限界をぶつけあって勝つから面白いのだ。だから、もしかしたら負けてしまうかもしれないことも含めて、震えながら歓迎するのです。

未来に必ずあらわれる「4回転6種」の人類最終形に近づいていくよう、少しでも進化していってほしい。限界を目指せる時代は短く、限界をふり絞れる舞台は少ない。「もはや4回転アクセルを出すしかない!」「この身が千切れても跳ぶ!」「うぉぉぉぉぉぉ!!」と追い込まれるくらいの日がきたら、もしかしたら届くかもしれないという期待を抱いて、この厳しい時代を喜ぼうと思うのです。

ということで、真・4回転時代の楽しさと不安と期待とピリピリに震えながら、17日のフジテレビ中継による「フィギュアスケート四大陸選手権 男子SP」をチェックしていきましょう。

◆平昌はミスの多寡で勝つんじゃなく、神演技の応酬で勝ちたい!

会場入りした羽生氏は大声で歌っていました。「会場の音の反響を確かめるってそういう意味だったのか!」と、僕は心地よい驚きを感じていました。彼はいつも僕の一歩先を進んでいる。そのうちリンクの上で歌って踊ることもあるかもしれんな…想像力の翼はどんどん広がっていきます。

江陵アイスアリーナには日本からも多くの観衆がつめかけ、今日も静かな熱気に満ちています。中継冒頭に登場した中国のハン・ヤンはスピンの姿勢をとれずに丸ごとひとつ無価値という大きなミスがありますが、それでも84.08点。少し前ならこれでGPシリーズの優勝争いをしていたようなスコアですが、今はもう勝ち負けには厳しいスコアになってしまっている。それが真・4回転時代。

飛躍のシーズンを過ごした日本の田中刑事さんは、この大舞台での演技をライブ中継で迎えました。冒頭の4回転サルコウは3回転となりますが、それ以外の部分では動きにキレもあり、ひきつづき好調を維持している感触。4回転がきっちりと決まっていれば自己ベストも、という演技でした。フリーでの巻き返し、ありそうです。

さぁ、そして始まる真・4回転の戦い。まず登場してきたのはネイサン・チェン。冒頭の4回転ルッツ+トリプルトゥループはまるでドリルのような鋭い回転でキレイに着氷。4回転フリップも難なく決めると、トリプルアクセルもこらえて上手くごまかしました。演技最後の決めポーズでヨタついて転びそうになったのには、「決めポーズ:GOE-3」にしちゃおうかなと思いましたが、さすが平昌五輪金候補の一角。これが「真」の戦いだなと、脱帽で拍手です。

↓なかなかやるじゃないか、ネイサン・バーソロメイ選手!

SP103.12点は「真」なら当然の得点!

スゴイんじゃなくて、当たり前と感じないといけない!

名前だけでも覚えておいてください!

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最終グループを迎えるまでの幕間の時間、羽生氏はイヤホンをヘアバンドみたいにつけてウォームアップに余念がありません。ピリピリとした空気感は解説の高橋大輔さんの感覚をも狂わせ、「バンクーバー五輪と同じ会場で行なわれる大会」と地球半分ほど場所ズレさせてしまうほどです。

その間違いをどうしても正してやろうと、女子アナが語気を強めに2回も「ピョンチャン五輪」と言い直した姿には、僕も思わず「ヒェーーー」となりました。中継側もピリピリしています。すごい緊張感です。僕は「そんなにキッチリしてない」ところが高橋解説者の人間的魅力だと思うので、次回の言い直しは1回でこらえていただけますよう伏してお願いします!

そして迎えた最終グループ。まず1番手のジェイソン・ブラウンは4回転は入れずにまとめる方向での演技。それでも片手でキャッチフットするキャメルスピンなどは、姿勢や回転の美しさが際立ち、魅せるものがあります。それぐらい魅せるものがある選手でも、4回転がなければ勝ち負けの土俵には乗ってこないのだから、厳しい時代です。

その厳しさに挑む、羽生氏。インフルエンザなどもあって2ヶ月ぶりの実戦となる大会は、いきなり自己ベスト近辺を要求されるハイレベルなものとなりました。滑り出し、やや強めにジャッジ席にあいさつを繰り出すと、まずは冒頭の4回転ループへ。高い跳び出し、鋭い回転、やや傾きますがまずはしっかりと決めました。高い加点が取れる質です。

しかし、2本目の4回転となるサルコウは2回転に。コンボのほうだったのでセカンドジャンプに3回転をつけられたのは幸いでしたが、大きく得点的にはロスします。それでもまぁミスはミスとして引きずることなく、むしろ「GO CRAZY」でアタマをイカれさせちゃうような振り付けから、ドンと盛り上げていけるのだから大したもの。

演技後半のオーノーレッツゴーアクセルは、余裕も加点もたっぷりの世界最高峰の逸品。GOEももちろん「3」です。ステップシークエンスではツイズルでまわる回数がいつもより少なかったり、見せ場のギターソロでもちょっとバランスを崩したりと若干の久々感も見せますが、十分に優勝争いの位置にはつけてきました。休養明けとしては、こんなところでしょう!

↓それでも97点が出るのだから、さすがの一言!


ひとつのジャンプで10点ほどロスしたな!

その10点がなくても、ちょっと前なら余裕でトップだったのに!

レベル上がってて、燃える!

↓大量のプーさんが投げ込まれ、世界的プーさんマニアの人みたいになった演技後のリンク!
ディズニーさん!

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羽生氏のロスでもつれた大会となるのか。羽生氏の声援を受けて登場した宇野昌磨クンは、さらにそのもつれを複雑にさせていきます。4回転フリップ、4回転トゥループ+トリプルトゥループと4回転はふたつとも成功。滑るほどによくなっていく演技の「結果」は、ニッコリとした本人の笑顔にいちばんよく表れていました。

帰ってくるなりギューっと抱きしめるなど、コーチもここぞとばかりに肉体的接触を激しく求めていく会心の演技。表示されたスコア100.28点は自身初のISU公認大会での100点超えでした。世界一、そして金を争うには必要となるラインを、またひとり超えてきた。100点がスタートラインだなんて、何だかスゴイことになってきました!

↓何だこのネット広告に出てくるフリー素材みたいな喜びかたwww

樋口コーチが煽り画像みたいになってるぞwww

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もはや戦いの前提条件から変わっていることが、より鮮明になってきました。SPでの4回転2種は、勝とうと思うなら必須であり、当たり前のラインとなってしまった。4回転を入れない構成とか、4回転を1回の構成では、ほかで挽回できないほど先頭は高みへと進んでいる。名手パトリック・チャンでさえ4回転1回しかも転倒では、トップから15点もの大差をつけられてしまう。

最終演技者のボーヤン・ジンを含めて、結局トップ4までは4回転2種という構成の選手が占めているのですから、勝ちたいならできようができまいがやるしかない。そのことが大本番の1年前に改めて突きつけられたことを、世界中の選手には収穫としてほしいもの。

先頭はさらに進化していきます。種類を増やす選手もいれば、セカンドジャンプの4回転に挑む選手もいたり、それぞれの高みを目指していきます。どこまでいけるのか。いってしまうのか。もはや「4Lz+4Lo、4F、4A」とかを覚悟しておく必要がある時代なのかもしれません。机上の空論ですが、机上の空論まで夢が広がるって素敵なことですね!


バカな夢を本気で見られる真・4回転時代、最高じゃないか!