『伝えることから始めよう』  高田 明 著  東洋経済新報社 271p 1600円(税別)

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あの独特の声と「伝え方」にどんな秘密があるのか

 一時期、会社の社長をしていたことがある。小さなソフトウェアベンチャーで、社員といえば開発担当の技術者しかいない。そこで、営業活動は社長である私が引き受けることになった。

 私自身も元は技術者だ。売り込む商品の技術的な特長や優位性は十分理解していると自負していた。自らパワーポイントで資料を作り、見込み客の企業を訪問しては、自社の商品がいかに素晴らしいかを説いてまわった。

 営業活動を始めてしばらくして、あることに気がついた。私の説明に対して、「よくわかった」と納得する人は一定数いた。しかし、逆に「よくわからない」と言われてしまうことも少なくなかったのだ。

 こんなに丁寧に説明しているのに、なぜ理解してもらえないのだろうと、じっくり考えてみた。そして、技術の説明ばかりに一生懸命になりすぎていたことに思いあたった。

 そこで、説明の重点を変えてみた。商品を使うことで何がどのように便利になるか、利用シーンとメリットを中心にして、技術の説明は参考程度にとどめるようにしたのだ。

 それが功を奏したのか、ようやく購入を検討してくれるお客様が増えだした。この時ほど「伝えること」の難しさを痛感したことはない。

 私は対面で説明したので、相手の反応に合わせて説明を変えることもできた。だが、客の顔が見えない通信販売ならどうだろう。商品の良さを伝えるのはさらに難しいに違いない。

 本書『伝えることからはじめよう』の著者は高田明氏。テレビショッピング番組「ジャパネットたかた」の人、と言えば、その容貌と独特の甲高い声が思い浮かぶのではないだろうか。

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