4月に開校する小学校の建設用地として学校法人が取得した大阪府豊中市の国有地をめぐり、売却額やその公表過程が議論を呼んでいる。

 土地の評価額は約9億5千万円だったのに、最終的な価格が1億3400万円まで下がったこと、国有地の売却額が、最近まで異例の非開示となっていたことがその理由だ。国側は土地の地下に埋まった大量のごみの撤去・処分費が8億円超に上ると算定し、その分を差し引いたと妥当性を強調しているが、17日の衆院予算委でも取引の経緯が取り上げられた。

 売却されたのは豊中市野田町の約8770平方メートルの国有地。財務省近畿財務局が平成25年に売却先を公募し、大阪市淀川区で幼稚園を経営する学校法人「森友学園」が名乗りを上げた。

 同学園はすぐに購入資金を準備できず、27年5月に土地を借り受ける契約を結んで工事に着手。しかし地中に、木くずなどのごみが想定以上に埋まっていることが明らかになった。国に撤去を依頼すれば開校に間に合わないとして、学園は資金を調達して購入を希望、昨年6月に随意契約で取得した。

 最初に話題となったのはこの売却額が当初、非開示とされたため。国有地の売却額はこれまでほぼすべて公表されており、問題視した豊中市議が開示を求めて今年2月8日に大阪地裁に提訴。その2日後、学園側が開示に同意して近畿財務局が一転、公表した。

 一連の経緯について取材に応じた同学園の籠池泰典理事長は「財務局から公表してもいいかと問い合わせがあった際、原則公開していると知らなかった」と説明。公開に転じた理由を「不当に安く取得したと誤解を受ける恐れがあると判断した」と話した。

 当初予定から大幅に下がった売却額にも疑念が集まった。近畿財務局から依頼を受けた不動産鑑定士は国有地を約9億5千万円と評価。その後、国側が地下に埋まったごみの撤去費を約8億2千万円と試算し、売却額はこの差額となった。

 本当に8億円を超える撤去費がかかるのか。何らかの便宜を疑う指摘に対し、国側は「金額は適正」との姿勢を崩していない。一方の学園側は「撤去費の試算には一切関与していない」と強調した。

 学園側によると、最終的な処分費が実際いくらかかるかは未定。ただ、敷地内のすべてのごみを撤去するわけではないといい、国側の見積もりよりもコストが安くなるのは確実とみられる。この点について学園側は「地下にごみが残っている分、土地の資産価値も下がる。安く売られたという批判は間違っている」と主張している。

 今回の取引が注目を集めるもう一つの理由は、新規開校する小学校が愛国心を教育理念に掲げ、名誉校長に安倍晋三首相の妻、昭恵さんが就くとされたため。

 17日の衆院予算委では、同学園が小学校設立のための寄付金集めの際、学校名を「安倍晋三記念小学校」と表記していたことなどを挙げ、国側の便宜がなかったか野党議員が追及。安倍首相は「私も妻も、(学校の)認可にも国有地の払い下げにも関係ない。関わっていたとしたら総理大臣も国会議員もやめる」と答弁した。

 籠池理事長は取材に対し首相の名前を冠した学校名にしたいと依頼したが、昭恵さんを通じて後に断られたと明かし、現在は「安倍晋三記念小学校」の表記は使っていないとした。