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プログラミングおもちゃが次々と出てくる時代がくる?

ギズモード・ジャパンの子どものプログラミング特集でも紹介し、昨年末に日本でも販売が開始された、イギリス発の3歳からプログラミングを学べるおもちゃ「キュベット(Cubetto)」。

現在、世界各国でプログラミング教育が注目されており、日本も例外ではありません。2020年より、小学校からプログラミング教育の必修化が検討されていますし、親が子どもに習わせたい習い事の候補にもあがるようになってきました。

この流れに乗って、教育玩具のジャンルのひとつとして確立するかもしれないプログラミングおもちゃ。これまではネットでしか手に入らなかったキュベットですが、15日より伊勢丹新宿本店の実店舗でも購入することが可能になりました。

また、今月18日には日本のメーカー、ソニーが開発したKOOVも販売される予定です。対象年齢は8才と異なるものの、「プログラミングおもちゃ」としてどう違うのか気になるところですよね。体験会を通しての「キュベット」の印象と共に「KOOV」との違いを述べたいと思います。


キュベットを実際に触ってみた

コントロールパネルにあたる木製パネルに16か所ブロックをはめこむ所があり、4×4種類、最大で16個のプログラミングブロックをはめていきます。色や木の質感から、まるでパズルや積み木のようです。

プログラミングブロックの種類は、緑:「前へ」、赤:「右へ(方向転換)」、黄:「左へ(方向転換)」、コントロールパネルの一番下の段に設定したプログラムを行う、青:「ファンクション」の4つ。



4種類のプログラミングブロック。裏側は正しい方向にはめられる形状になっている

また、販売されている「プレイセット」にはそれぞれのマス目にイラストが描かれた「ワールドマップ」がついており、木製のロボット「キュベットくん」がプログラムの指示にそって、すごろくのように一マスずつ進んでいきます。「山の書いてあるマスを回避して、森に到着」といった迷路のような遊び方ができますし、ストーリーブックがついているので、書かれている物語にそってロボットを主人公として動かして、楽しむこともできます。



上の動画では、プログラミングブロックの指示に従って、「キュベットくん」が「前進」→「左に方向転換」→「前進」→「前進」→「右に方向転換」→「前進」と動いています。ラジコン操作ではなくて、一人称のゲーム(FPS)のように自分自身が「キュベットくん」になったつもりでブロックを組み合わせるのがポイントですね。

現時点で販売中のプレイセットについているワールドマップは上の動画のマップ「キュベット学校へいく」ですが、今後は日本でもエジプトや海や宇宙が舞台のマップを販売予定とのことです。プログラミングの勉強と同時に社会や理科の知識も身につきますね。



ワールドマップと対応するストーリーブック(英語版)


プログラミング教育の先駆者、イギリスでは

キュベットを開発したPrimo ToysのCEO、フィリッポ・ヤコブ氏によると、イギリスでプログラミング教育が始まったのは3年前ですが、最初からすんなりと受け入れられたわけではありません。親からは、なぜ必要なのか、自分のわからないものをなんで子どもに教える必要があるのか、といった反発があったそうです。

でも、現在のイギリスではプログラミング教育は親から重視されています。ただし、教育の中心である学校は、何か実施するのに多くの人からの決定が必要とされ、非常にゆっくりでニーズに追いついていないようです。でも、学校外の教育機関では盛んになっており、そこで導入されている「キュベット」を通して外からの盛り上がりを作ることも大事と考えているとのこと。

日本の今の状況は当時のイギリスと同じに思えるので、受け入れられる可能性は十分にあると期待しているそうです。


キュベットとKOOVの違いとは

親しみを感じる優しい色味と形はキュベットもKOOVも共通ですが、キュベットはあえて機械らしさを取り除いています。開発者のヤコブ氏によると「幼い子供の親はデジタル機器をあまり使わせたくないと思っている」とのこと。アナログなブロック遊びから「概念」としてプログラムを覚える、というのが狙いだそうで、他のおもちゃと並べていて、子供が選択肢のひとつとして自然に手にとれるようになっています。ぱっと見ても、プログラムを勉強するおもちゃには見えません。



そのため完全にアナログなインターフェイスで、機械を使いません。ヤコブ氏はプログラミング普及の課題として、環境整備をあげており、インターネット環境や特別なデバイスがなくても、誰でもすぐに遊べるようにという狙いが背景にあるからです。確かに、より小さい子どもほど平等な教育環境を提供することは大事かもしれません。

動きはシンプルで、平面を前進する2次元の移動に絞っています。ブロックも16個なので、制限された中での組み合わせが必要とされます。また、用意されているストーリーブックやワールドマップから、親が物語を通して子供と会話をしたり、子供が親に説明をしてあげたりと、親子のコミュニケーションが前提として作られています。

一方、KOOVは機械っぽさがあり、いかにもコンピューターを使ってものづくりをしている感があります。コントロールパネルとしてPCやiPadを介して動き、プログラミングを勉強するということが前面にきています。自由度が高く、複数のセンサーを自分で組み込んでロボットそのものを作り、3次元的な上下左右の動きや音を出すなど高度なプログラミングが可能です。そして、基本的には一人で学び、遊べる仕様になっています。



PCをコントロールパネルにして、自分で組みたてたロボットを動かすKOOV


これらの違いは対象年齢の違いも関係していると思われます。小さい頃はどうしても親の用意したものに子どもは依存せざるをえないので、親にとっても子どもにとってもとっつきやすく、一緒に遊べるものの方が安心感があります。でも8才ともなると、子どもの自我やこだわりにはっきりしたものが確立されていますし、大人の使っているのと同じものを使いたがるものです。むしろ「機械っぽさ」がある方が、コンピューターを操作しているという自尊心が満たされ、「カッコイイ」=やる気につながる、というのもありそうです。

つまり、どちらがいいというわけではなく、同じように「プログラミングが学べるおもちゃ」といっても、背景にある目的やねらいは同じではないと感じました。今後いろいろな商品が出てくるでしょうが、もしも幼少期に与えたプログラミングおもちゃが合わなかったからといって、プログラミングそのものがその子どもには向いていない、ということではないでしょう。

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キュベットは、オンラインストアで29,600円で販売中です。また27日まで伊勢丹新宿本店でスタートアップイベントが開催されています。今週末の18日、19日は10:30から18:00まで、デモンストレーターが店頭に立って、子どもたちに実際にコーディングをチャレンジしてもらうイベントもあります。

なお、イベントが終了しても、引き続き店舗で購入することは可能なのでご安心を。興味はあるけど、なかなかネットで見ても購入は決めかねる、という方は実際に目で見てみるといいかもしれませんね。


・8才から遊んで学べるロボット・プログラミングキット「KOOV」


image: PRIMO, KOOV
source: PRIMO, YouTube

今井麻裕美