就任直後から大統領令に次々署名し、公約を実行に移しているトランプ米大統領。株価も過去最高値の更新が続き、市場もその政策を好感しているように見えます。しかし、その足元では閣僚人事を巡る大停滞と「危険な兆候」が……。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が指摘する、トランプ政権の火種とは!?

政権発足1カ月で議会承認された閣僚は
たったの9名、その理由は!?

 トランプ大統領は15ある閣僚ポストを全て入れ替えるべく候補を指名していますが、政権発足から約1カ月が経とうとしている2月17日現在、議会承認されたのは9人だけです。

 議会承認は上院で定員100名(うち共和党が52名)の過半数を取ればいいだけですが、これまで承認された各長官もほとんどが過半数をわずかに超えただけで通っています。

 米国議会には日本のような「党議拘束」はないものの、審議では民主党が徹底抗戦しています。共和党も議事妨害(フィリバスター)を排除できる60議席を確保できていないため、審議は果てしなく続きます。

 とはいえ、ここまでの事態に陥っているのは民主党の所為ばかりとも言えません。トランプが指名した人物にはイデオロギーや経歴から「とりわけそのポストに就けるには問題あり」な人物がかなりいるからです。

 例えば、採決で賛成50:反対50となり史上初めて副大統領が投じた1票によって教育長官になったベッツィ・デボス氏は、公教育(つまり公的資金による教育)に反対の立場。実弟は悪名高い民間軍事会社ブラックウォーターの創設者エリック・プリンス氏で、密かにトランプ大統領の政権移行チームのアドバイザーも務めていました。

 あるいは、エネルギー長官候補に指名されたリック・ペリー前テキサス州知事は、資源採掘規制や排ガス規制の反対派。労働長官候補に指名されたアンディ―・パズダー氏は大手ファーストフードチェーンのCEOで最低賃金引上げに反対し、不法移民を低賃金で採用していたこともあります(編集部注|パズダー氏は2月15日、指名を辞退すると表明しました)。

 全員が大統領選でトランプを支えた功労者ではあるものの「なにもそこまで極端な人物ばかりを指名しなくてもいいのに」と思ってしまう人事です。

 さらに議会承認が必要な政治任用ポストが全部で693もあるのですが、先週末時点で承認済みは8名だけ。承認待ちも27名しかおらず、残り658のポストでは候補の指名すら行われていません。

 こうなると各省庁で実務が正式にスタートするまでには相当長い日数(3〜6カ月くらいか)がかかりそうで、そのうち業務停滞による大混乱が起きる可能性が十分にあります。

 オバマ政権時にも債務上限引上げ問題で議会承認が遅れ、幾つかの政府窓口が閉鎖されて大騒ぎになりましたが、今回はその比ではありません。責任者も含めて人がおらず、政府業務が完全不能に陥る可能性すらあるのです。

政府業務の機能停止で大混乱の可能性
それ以上の「危険な兆候」も見えてきた

 さらに掘り下げて行くと、もっとやばいことが思い当たります。補佐官などホワイトハウス事務局の主要ポストは議会承認が要らず、議員である必要もありません。あくまで大統領を私的に補佐するという立場だからですが、その代りに直接行政に関与することは厳しく制限されています。

 ところが、各省庁の業務が停滞した場合には、ホワイトハウス事務局が行政に大きく関与してくる可能性があります。

 その「危険な兆候」はすでに現れています。例えば、新設された「首席戦略官」で大統領補佐官のスティーブ・バノンが1月28日、国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに昇格しました。バノンは過激なナショナリストであり、レイシスト(人種差別論者)です。

【国家安全保障会議(NSC)とは】米国の安全保障に関する最高意思決定機関であり、CIAもその傘下にある。会議の常任メンバーは、大統領、副大統領、国務長官、防衛長官、それに慣習的に議会承認の要らない国家安全保障担当大統領補佐官など。

 トランプはわざわざ常任メンバーから軍事の現場トップである統合参謀本部議長と国家情報長官を外してまで、バノンを常任メンバーに加えたのです。トランプの外国に関する過激な発言は、すべてこのバノンから出ています。

 また国家通商会議(NTC)委員長に就いたピーター・ナバロも「危険な兆候」の1人です。ナバロはカリフォルニア大学アーバイン校教授で対中強硬派で知られており、トランプの中国への過激発言はこのナバロの入れ知恵です。

 NTCはトランプが就任前にホワイトハウス内に新設した機関ですが、ということは政権発足前からこれまでの政治システムを軽視した「側近政治」を標榜していたことが窺えます。中でもバノンとナバロを重用しているのは、今後重要な決定がこうした「過激な側近」に委ねられる危険性が増していることを意味します。

 2月13日には安全保障担当補佐官のマイケル・フリンが辞任を表明しましたが、これはホワイトハウスの勢力争いにバノンが勝利し、敗れたフリンが放逐されたのです。今後、側近内でこうした勢力争いが過激化して、トランプ政権が空中分解してしまう恐れもあります。

 トランプの政策を懸念する前に、そもそもこの政権に行政執行能力があるのか本気で心配になってきます。今後の米国を考えるときに十分以上に警戒すべきポイントとなるでしょう。

極右バノンと対中強硬派ナバロの重用が今後のトランプ政権に何をもたらすか…続きは刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』でお楽しみください。読者登録していただくと政治経済や金融の話題を中心に、歴史文化や娯楽まで他のメディアでは決して読めない、濃くて深くてためになる記事が、毎週1回5本程度の本編と付録、番外編、速達便がお読みいただけます。