外国人を積極補強した鹿島と、昨年とほぼ同じ顔ぶれの浦和が対戦する

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徹底攻撃か、変幻自在か――。

Jリーグの開幕に先立ち、富士ゼロックス スーパーカップが2月18日に横浜で開催される。この大会はJ1リーグチャンピオンと天皇杯優勝チームによって争われるシーズン最初の公式戦だ。

昨年は鹿島アントラーズがJ1と天皇杯の両大会を制したため、規定によってJ1リーグ2位の浦和レッズが出場することになり、昨年のチャンピオンシップ決勝の再現となった。

昨年、年間勝ち点3位だった鹿島はチャンピオンシップ準決勝で同2位の川崎フロンターレを1−0で下し、同1位の浦和が待つファイナルに勝ち進んだ。

鹿島のホームで行なわれた決勝第1戦に1−0で勝利したのは、浦和。そして、浦和のホームで行なわれた決勝第2戦で先制したのも、浦和…。

だが、ここからが鹿島の真骨頂だった。

攻撃的なサッカーを掲げる浦和が「それでも攻めるのか」「このまま守るのか」、意思の統一が乱れたところを見逃さず、前半のうちに同点に追いつくと、じわりじわりと浦和を追い詰めていき、79分に金崎夢生がPKを決めて逆転に成功。1勝1敗ながらアウェーゴール数が多い鹿島が年間優勝に輝いた。

その後、鹿島はJ1チャンピオンとして出場したクラブ・ワールドカップで決勝まで勝ち進み、ヨーロッパチャンピオンのレアル・マドリード(スペイン)と延長戦までもつれ込む好勝負を演じたのは、記憶に新しい。

そんな鹿島の戦いを複雑な思いで見ていた選手たちがいる。言うまでもなく浦和の選手たちである。例えば、DF槙野智章はこんな風に明かした。

「正直、最初はレアルを応援していたというか、レアルが楽しみでした。でも、(柴崎)岳が逆転ゴールを決めてからは、気づいたら鹿島を応援していたんです。頑張れって、自然と。果たして、僕らが出ていたら決勝まで勝ち進めていたかどうか…。鹿島の勝負強さをあらためて見せてもらったし、大きな刺激をもらいました。あの鹿島に来季こそ勝ちたい――そういう強い思いが芽生えました」

その後、鹿島が天皇杯を制したことで、新シーズンの開幕を1週間後に控え、浦和は早くも鹿島と再戦する機会を得たのだ。

攻撃的なサッカーを掲げる浦和だが、昨年のチャンピオンシップ決勝を顧みれば、新シーズンは守備力やゲームマネジメント、駆け引きを磨くことをテーマにしてもよかったが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が打ち出した方針は、徹底攻撃――。「相手に90分プレスをかけ続け、相手のコートで試合をする」と選手たちに説き、これまで以上にバランスの針をさらに攻撃へと傾け、相手を圧倒することを誓った。

一方、鹿島のスタイルはそれとは真逆の「変幻自在」。相手やゲームの流れ、シチュエーションに応じて戦い方を自在に変えることを得意としている。チャンピオンシップ決勝のあとも小笠原満男はこんなことを言っている。

「浦和が攻めてくれば、守ってカウンターを狙う。浦和が引いて守ってきたら、しっかりボールを回して崩す。浦和がどうやってきても、それに応じて戦うだけだった」

今年のプレシーズンマッチでも、両サイドハーフと2トップの4つのポジションに金崎、土居聖真、レアンドロ、鈴木優磨と、いずれもMF、FWをこなせる攻撃のユーティリティを起用。ポジションチェンジをして相手を揺さぶり、「変幻自在」の色を強めていた。チームを率いる石井正忠監督が目を細めるようにして言った。

「対戦相手を見て、選手同士でこう崩したいと思うものがあるのなら、ゲームの中で変化をつけてもいい。元々、練習ではいろんなポジションをやらせている。それぞれの役割を理解しているからできることだと思うので、普段の練習の成果だと思います」

新戦力に目を向ければ、鹿島は待望の左利きの左サイドバック三竿雄斗(前・湘南ベルマーレ)、スペインのテネリフェに移籍した柴崎に代わってボランチに入るレオ・シルバ(前・アルビレックス新潟)、元ブラジル代表のレアンドロ(前・パルメイラス)、ベテランGK曽ヶ端準と熾烈なポジション争いを繰り広げているGKクォン・スンテのスタメン出場が濃厚だ。

一方、浦和は鹿島ほどの変化はない。チーム戦術への理解が早い菊池大介(前・湘南ベルマーレ)は先発起用されてもおかしくないが、期待の新エース、ラファエル・シルバ(前・アルビレックス新潟)は負傷のため欠場する見込みだ。

徹底攻撃か、変幻自在か――。正反対の色をさらに強めた両チームによるスーパーカップは、今季を占う重要な一戦になるはずだ。

(文/飯尾篤史 写真/AFLO)