力のある脚本家の井上由美子が、どちらも美しい母と娘の密着に切り込んだ問題作。この5回は娘・美月(波瑠)が、恋人の松島(柳楽優弥)と母・顕子(斉藤由貴)が抱き合った場面を見てしまったことから、美月の家出が起き、さらに逆上した顕子が2人の行き先に付きまとう展開が描かれる。娘に密着するあまり、恋人ができた娘を手放したくなくて、次第にエキセントリックになってゆく母。
少子化の時代にはありそうな話ではあるが、筆者が気に入らないのは、今時の仕事(教師)を持っているいい大人の美月が、あまり抵抗もせず、喋りもせず、ただの鈍重娘に見えるところ。実の母親に対しては、息子も娘もこんなに無抵抗で従順ではないぞ。さては脚本家は子供を育てた経験がないのか。無償の愛がある裏には、むき出しの本音の闘争が存在するというのが実の親子の確執である。
だから、この美月はいささかバカ娘に見えるのだ。顕子が丹精込めて作った人形展でも、折角行ったのに、顕子が喜ぶ姿を見ても、むっつりしたまま去ってゆく場面はありえない。田舎者丸出しというか、揉めている母親に対しても、もっと親しく社交辞令ぐらいは言うだろう、普通、教育者たる大人ならば。
恋人で建築現場の監督、松島も芸達者の柳楽を配している割には今1つ何を考えているのかわからん男で、母と娘の離別(?)に対しての反応も鈍い。さらに夫(寺脇康文)の存在はないに等しい。(放送2017年2月10日22時〜)

(黄蘭)