金正男氏

13日にマレーシアで殺害された、北朝鮮の故金正日総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏と接触を持っていた北朝鮮の外交官など、多くの人が2011年ごろに処刑されていたことがわかったと米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

北朝鮮の元高級幹部の脱北者がVOAに証言したところによると、2003年から2010年初めまで北京の北朝鮮大使館で党秘書として勤務していたクァク・チョンチョル氏は、金正男氏と接触していたことを理由に2011年に処刑されたという。

「殺れるのはただ1人」

アジア各国の北朝鮮大使館での勤務経験を持つこの元幹部によると、金正恩氏が後継者として頭角を現した2011年、金正男氏の周辺人物に対する大々的な粛清が行われた。

(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認

北朝鮮対外経済省の党秘書を歴任し、労働党副部長級の肩書を持ち中国に駐在していたクァク氏は、金正男氏に3回会ったとの理由で処刑され、家族は収容所送りになった。

この時、北朝鮮国営の航空会社、高麗航空北京支社の代表と副代表など3〜4人の職員も処刑され、家族は全員収容所送りになったという。この中には、金正男氏の旅行の手配や、荷物の運送を行なっていただけの職員も含まれていた。

朝鮮労働党の指示で、金正男氏を補佐していた労働党対外連絡部(225局)のカン氏などの要員も、同時期に処刑され、肝臓がんで死亡したことにされたという。

この元幹部は、1980年代に金正男氏の存在を知り、平壌で数回見かけたことはあったものの、一般住民はもちろん労働党の幹部ですら、彼や金氏一家のことを知らなかったと証言した。

また高級幹部たちは、故金日成主席と後妻の金聖愛(キム・ソンエ)氏との間に生まれた子どもたちが冷遇されていることを知っており、一家に近づくことは危険だと考えていたとも語った。

金聖愛氏を母に持つ金平日(キム・ピョンイル)氏は、70年代の後半から東欧各国の北朝鮮大使を歴任しているが、国外追放と変わりない状態に40年に渡って置かれている。子どもが生めないように去勢手術を受けさせられた、平壌に軟禁されたとの噂が出回ったこともある。

また、金正恩氏を権力の座から引きずり下ろし、金平日氏と交替させようとの動きが報じられたこともあった。

この元幹部は、北朝鮮で金日成氏の肉親に手をかけられるのはただ1人(金正恩氏)のみで、その意を受けることなく、自らの忠誠心だけでそのようなこと(金正男氏殺害)をしようと考える人は誰もいないだろうと述べた。