ある脱北青年が、窃盗容疑で警察に逮捕された。自由と豊かさを求めてやって来たはずの韓国で、彼は極貧生活を送っていた。韓国の聯合ニュースが報じた。

韓国・全羅南道の麗水警察署は13日、20歳のイ容疑者を常習窃盗容疑で逮捕した。イ容疑者は先月23日午前10時ごろ、全羅南道の麗水市内の衣料品店の前に置かれていた服の入った包みを盗んだ容疑が持たれている。

服を盗んだのは、着替える服を1着も持っていなかったためだ。しかし、包みの中に入っていたのはすべて女性服だったため、包みを捨てて逃走した。

北朝鮮出身のイ容疑者は、父親を早くに亡くし、母親一人に育てられた。先に脱北した母親の手引きで韓国にやって来た。脱北者のためのオルタナティブ・スクールを卒業後は、短大に進学したものの、韓国人との人間関係や生活環境に慣れず、数ヶ月で辞めてしまった。

やがて彼は家を出た。母親の再婚相手とは折り合いが悪く、経済状態もよくなかったためだ。仕事が見つからず、車の窓をこじ開けては金品を盗み、ネットカフェで寝泊まりし、カネがなくなるたびに盗みを働くという生活を続けてきた。

昨年末に逮捕されたが、執行猶予付きの有罪判決を受け、釈放された。行くところもカネもなかったイ容疑者は、再び犯罪に手を染めた。

警察関係者は、イ容疑者はずっと同じ服を着ており、風呂にも入れず、顔は痩せこけていたという。韓国・大法院(最高裁判所)量刑委員会の資料によると、窃盗の量刑は4ヶ月から6年だ。

韓国の法務省が作成した「北韓離脱住民収監者現況資料」によると、脱北者で刑務所に服役している人の数は、2011年に51人だったのが、2016年8月末の時点で129人に増加している。薬物がらみが38人で最も多く、暴力(15人)、詐欺・横領(13人)、殺人(11人)、窃盗(5人)、強盗(4人)の順となっている。