グーグル超え狙うディープラーニング企業「ガマロン」の野望

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現在、世界中のテクノロジー企業がこぞって「ディープラーニング」を導入している。ディープラーニングとは、ディープ・ニューラル・ネットワークを用いた機械学習で、例えば猫をあらゆる角度から撮影した画像1万点をニューラルネットワークに学習させると、猫を認識できるようになる。しかし、犬の画像を混ぜてしまうと、システムに混乱が生じる。

AI開発を手掛けるスタートアップ「ガマロン(Gamalon)」は2月14日、数点のデータを学習させるだけで、ディープラーニングと同等の成果を挙げることが可能な機械学習技術の開発に成功したと発表した。

ガマロンは、統計モデルを用いた「ベイジアンプログラム合成」により、少ないデータ量で学習させることを可能にした。例えば、システムに猫のひげ、しっぽ、目の画像を学習させると、AIは自ら予測モデルを組み立ててそれが猫であると認識できるようになる。新たな情報が加わるとモデルが更新され、データが蓄積されるにつれて精度が向上する。ディープラーニングでは、膨大なデータを処理するために高価なGPUと数百台ものサーバが必要だったが、ガマロンの技術であればiPadに使われているプロセッサで対応できる。

「自動運転車のように複雑なことを学習させるためには、より多くのデータが必要になり、コストも手間も余計にかかる」とガマロンの創業者兼CEOであるベン・ビゴダは話す。彼はガマロンの技術の方が、グーグルの機械学習ソフトウェア「TensorFlow」よりも100倍効率的だと胸を張る。

今回ガマロンがリリースしたアプリケーションの一つは、ベイジアンプログラム合成を使って企業内の様々なソースから収集した体系化されてないデータを整理するものだ。このソフトウェアは、アマゾン、マイクロソフト、グーグルのクラウドプラットフォームとの連携が可能だ。企業のデータ処理を行うデータクリーニングは、自動運転など華々しいAI技術と比べると地味ではあるが、ガマロンは当面この分野に注力し、モデルの精度を高めながら収益を稼ぐ予定だ。

「非構造化データの分析は、数十億ドル規模のビジネスになる」とガマロンに出資しているFelicis Venturesのマネージングディレクター、Aydin Senkutは話す。同社がグーグルのTensorFlowを使ったお絵描きゲーム「Quick, Draw!」アプリで電気スタンドとソファを描いたところ、AIは家か教会だと判定した。これは、AIが二つの異なる物体を描いたことを認識できなかったからだ。これに対し、ガマロンのシステムは、AIは電気スタンドとソファをそれぞれ認識することができた。

ビゴダは、ガマロンを創業する前にLyric Semiconductorという確率処理回路のメーカーを立ち上げ、2011年にAnalog Devicesに売却している。彼は、マサチューセッツ工科大学で統計物理学と機械学習の博士号を取得している。

ガマロンは、これまでにアメリカ国防総省の機関である国防高等研究計画局(DARPA)から770万ドル(約8.8億円)の出資を受けているほか、シードラウンドでFelicis Venturesなどから450万ドルを調達している。ガマロンは将来的に機械学習技術を外部企業に提供するかもしれないが、大手テクノロジー企業の多くはディープラーニングに目が向いているため、導入は容易でないだろう。

「現在のトレンドはディープラーニングであり、我々の技術を売り込んでも取り入れてもらえないだろう。まずはデータクリーニングを通じて我々の技術力を理解してもらった上で、その先の展開を図っていきたい」とビゴダは話す。