電機大手の東芝が資金調達のための半導体事業売却を4月以降に先送りする方針であることが2月16日、大きく報じられました。これによって、東証1部から2部に「降格」する見通しといいます。

 東芝は2月14日、2016年4〜12月期決算の見通しを発表し、米原発事業の損失が7000億円以上に上り、昨年12月末時点で1900億円以上の債務超過であることを公表。報道によると、同社は債務超過解消のために、今年3月末までに半導体事業を分社化し、20%未満の株式を売却する予定でしたが、綱川智社長が過半数の株式売却を表明しました。

 入札のやり直しに時間がかかる以上、3月末までの売却はほぼ困難な見通しとなり、2017年3月期決算で債務超過を解消できないため、東証1部から2部への降格が確実になったというわけです。

 日本取引所グループ(JPX)の担当者によると、事業年度末で債務超過が確認された1部上場企業は2部へ降格することになります。たとえば年度末が3月の企業であれば、その年の8月に市場変更になります。さらに、年度末における債務超過が2年連続の場合、上場が廃止される仕組みです。

構成銘柄から外れれば、保有の意義なし

 それでは、東芝の2部降格による株主への影響はどのようなものでしょうか。

 マネースクウェア・ジャパンの西田明弘チーフエコノミストによると、多くの機関投資家は日経225やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数に連動するインデックス・ファンドで株式を運用、連動性を担保するために、株価指数の構成銘柄をそのシェアに応じて保有しています。「東芝が2部に降格し、株価指数の構成銘柄から外れれば、保有する意義がなくなって売却され、株価に下落圧力が加わることが予想されます」。

 ただ、より重要なのは、債務超過を解消するために優良事業である半導体部門の一部、もしくは全部の売却が行われてしまうこと。「高収益部門の売却後、どのような経営再建や事業再建をしていくのか、将来の収益改善の青写真が描けない場合、降格とは別に株価が低迷する可能性もあります」。

 一方で、悪材料が株価に織り込まれたことで「底値が近い」との見方も可能といいます。将来的には1部への市場変更も考えられ、「こうした状況では『底値拾い』、いわゆる『ボトムフィッシャー』が買い出動する可能性もあります。ただ最終的には東芝の再建が可能かどうかに尽きるでしょう」。

(オトナンサー編集部)