先の日米首脳会談は、日本にとって申し分のない結果となった。しかし、本番はこれからだ。今後のトランプとの駆け引きには2つの視点が必要となる Photo:首相官邸HP

写真拡大

出だしは上々、本番はこれから
首脳会談後の日米関係

 日米首脳会談は、日本にとって申し分のない結果になったと言うほかない。自動車や為替など、日本側が警戒していた案件は取り上げられなかった。とりわけ注目された為替と金融政策の関係では、「世界の需要を強化するために財政、金融、構造政策を用いる」といった、G20等での国際的な合意が共同宣言に盛り込まれた。日米首脳会談の前には、トランプ大統領が緩和的な金融政策を問題視するかのような発言を行っていたが、会談では大事には至らなかった。

 もちろん、日本にとって今回の首脳会談は、トランプ大統領との長いつきあいの入り口に過ぎない。選挙戦当時からのトランプ大統領の言動を考えれば、今後の交渉において、厳しい対日要求が出てくる可能性は否定できない。それでなくても、米国の自動車業界や畜産業界などは、この機会を利用して、トランプ政権に日本から譲歩を引き出させようとするだろう。

 トランプ大統領が置かれた状況を考えると、今回の首脳会談の機会において、日本を厳しく攻めたてることに利点を見出せなかったとしても不思議ではない。発足から1ヵ月を迎えようとするトランプ政権は、移民・難民の入国禁止を巡る法廷闘争など、他にも難題を抱えている。日米首脳会談の直前に、トランプ大統領が中国に対して「1つの中国」政策を尊重すると伝えるなど、日米関係に限らず、トランプ政権の外交政策は、穏健化の兆しをみせていた。

 また、首脳会談の時点では、財務長官や商務長官、USTR(米通商代表)など、対日交渉に携わるであろう主要な閣僚が、議会の承認を終えていなかった。良くも悪くも、トランプ政権にとって、日米関係は数多(あまた)ある政策課題の1つに過ぎない。手ごまが揃わないなかで、日米摩擦にまで戦線を拡大することが得策だったとは思えない。

 見守るべきなのは、政権の陣容が整った後の実際の対日交渉だ。外交面では、一時は日本とのパイプ役ともいわれたマイケル・フリン大統領補佐官が、就任前のロシアとの接触を問題視され、辞任に追い込まれた。ウィルバー・ロス商務長官や、国家通商会議を指揮するピーター・ナヴァロ氏などは、貿易不均衡を問題視する傾向が強いと言われる。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)