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1985年に発生したインド航空182便爆破事件は乗員乗客329人が亡くなるという大惨事で、2001年の「アメリカ同時多発テロ事件」が起こるまでは、最も犠牲者の多いテロ事件として知られていました。そんな事件を引き起こしたとして有罪判決を受けていた男性に対し、カナダ当局が更正のプロセスを終えて「危険度は低い」と判断し、一般人として社会に復帰させるという措置を取ったことがニュースになっています。

Canada frees man convicted for 1985 Air India bombing that killed 329 people | World news | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2017/feb/15/canada-air-india-bombing-inderjit-singh-reyat-freed

Air India bomb-maker released from halfway house; now considered 'low risk' by National Parole Board - British Columbia - CBC News

http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/air-india-bomb-maker-released-from-halfway-house-now-considered-low-risk-by-national-parole-board-1.3982410

この措置によって自由の身になったのは、インド出身のカナダ移民であるインデリジット=シン・レヤット氏。182便爆破事件と、ほぼ同時刻に日本の成田空港で発生して死者2人を含む6人が死傷した成田空港手荷物爆発事件の爆弾製造に関わった罪と裁判での偽証罪などで有罪判決を受け、20年以上服役していた人物です。182便爆破事件には別に数人容疑者が存在していましたが、2人は警察との銃撃戦の末に死亡し、残る2人は証拠不十分で無罪の評決が出ていました。つまり、レヤット氏は一連の事件で有罪判決を受けた唯一の人物です。



インド航空182便爆破事件は、1985年6月23日にエア・インディア182便が北大西洋上で爆発・墜落し、乗員乗客全員が死亡したという事件です。墜落した182便はボーイング747-200B型機が使われており、329人の命が失われています。爆発物は2人の実行犯の手荷物として預けられたのですが、荷物を預けた人物は搭乗口に現れなかったために2人を乗せずに離陸し、そのまま爆発事故に至っています。この事件をめぐっては、爆発物であることに気づかずに荷物を預かったことや、搭乗しなかった乗客の荷物を乗せたまま離陸したという複数の不備が問題点として指摘されています。

インド航空182便爆破事件 - Wikipedia

レヤット氏は、20年に及ぶ服役生活の後に2016年1月に釈放され、カナダの更生保護委員会によって定められた「犠牲者の家族および共犯者として疑われた人物と接触を行わない」「政治的活動を行わない」などの条件の下で2018年まで更正訓練施設で生活することとなっていました。この措置にはまた、レヤット氏が「暴力的な傾向や共感の欠如」、「認知のひずみ」あるいは「誇張された信心」に対処するカウンセリングを受けることが義務づけられていたとのこと。

しかし2017年1月26日、更生保護委員会の通知により、レヤット氏は施設を出て一般の生活に戻ることが認められました。この措置に対して、カナダ・サイモンフレーザー大学のアンドレ・ギエロイマトス氏は「彼はまだ何かを隠しています。保護更生委員会の措置は全く馬鹿げています。委員会はいったいどんな煙を吸っているのか疑う必要があります」と委員会側の措置に疑問を唱えています。

なお、自由の身になったとはいえレヤット氏には引き続き上記の条件が課せられており、委員会が疑いを持った場合にはいつでも再収監することが可能とされているとのこと。この一件に関し、レヤット氏はノーコメントを貫いているとのことです。