シーダ・トルン監督

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 猫をテーマにした話題のドキュメンタリー映画『ケディ(原題) / Kedi』について、シーダ・トルン監督が2月8日(現地時間)ニューヨークのバワリー・ホテルで語った。

 数メートル歩けば野良猫に遭遇するほど、猫であふれたトルコのイスタンブールの街で、切っても切れない人間との関係を猫目線で描きながら、この世界で人間が動物と暮らす大切さを真摯(しんし)に見つめた作品。

 猫の街、イスタンブールで育ったトルン監督は「1980年代、わたしは家族とアパートに住んでいて、その建物の裏には小さな庭があったの。多くの猫たちは、その庭やアパートの地下に入って子猫を産んでいたわ。ある日、猫が争っている声を聞いたと思ったら、猫たちが交尾をしていたこともあったし、しばらくして子猫の鳴き声が聞こえてきたこともあった。わたしは学校から帰ると、庭や地下にいる猫たちと一緒に過ごしていたの。そんな環境で育ったことは本当に素晴らしいし、幸運だったと思う。今は、わたしが育った当時と比べて、人口や車も増えて、変わってきている」と答えた。

 作中には、港や路地裏に住む猫に、餌を与える男性が登場する。「撮影に入る前、わたしたちはリサーチャーを雇って、猫のいるさまざまな場所を訪れると、その場に居た人たちから、『猫のことなら、この人に話を聞いてみたら良いよ』と言われたの。それが、人けのない場所(港や路地裏など)で餌をやっている彼だった。彼は家族に不幸があって、精神的に辛かったとき、猫と触れ合うことで心が癒やされ、元の生活に戻れたそうなの。それで彼は、恩返しのために猫に餌を与えて回るようになったの」。

 下水道から屋根まで、さまざまな場所で猫を撮った撮影監督チャーリー・ウッパーマンとのタッグについて「チャーリーは、素敵な美的センスを持っている。彼は長編映画の撮影監督を務めてきて、アナログ撮影を好むタイプ。もし製作資金があれば35ミリカメラで撮影したかったけれど、動き回る猫を捉えるのは不可能だった。そのため2台のキャノンの5Dカメラにフィルムレンズをつけて撮影したの。さらにカメラリグ(撮影機材を安定させるもの)をつけて、猫の目線に合わせた撮影も行った」と明かした。 (取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)