写真提供:マイナビニュース

写真拡大

2月16日午前、耳を疑うようなニュースが流れた。ANAホールディングス傘下の全日空が「重要な経営課題」について、同日午後3時に記者会見を開くという。重要な経営課題という表現は、どうしても“不祥事”に直結してしまう。

時期も悪かった。ここ最近は大企業の不祥事が頻発している。それもあって、“ネガティブなこと”に思考が傾きやすい。

さて、この手の記者会見の場合、ごくまれに、新聞やテレビ報道陣のみに限定されることがある。そのため、ウェブ媒体であるマイナビニュースが入場できるのか、ANA広報部に確認の電話をかけた。

広報部の答えは「どうぞ、どうぞ。ぜひいらしてください」というものだった。これから不祥事を発表するとは思えない、ストレスフリーの明るい口調だった。「ん?」とは思ったが、広報という立場上、メディアに対する口調に悲壮感は出せないのかもしれない。

だが、すぐに理由がわかった。昼には一部のメディアが「今回の発表は社長交代か」という趣旨のニュースを報道した。だが、何しろあの表現だ。そのニュースを読んでも、社長交代だけでなく、重要な何かが発表されるのだろうと考えた。

マーケットも敏感だった。“重要な経営課題”という表現は“悪材料”を想像させたらしく、ANAホールディングス株は大きく下落。社長交代という報道が出たあとも大きく乱高下した。

そして午後3時、会見は始まった。その内容は、全日空の代表取締役社長 篠辺修氏が3月31日をもって退任し、4月1日に取締役執行役員 平子裕志氏が代表取締役社長に昇格するというものだった。篠辺氏はANAホールディングスの取締役副会長に就任する。

会見は10分ほどで終わった。その後は質疑応答となったが、そのなかで篠辺氏は「重要な経営課題という表現が株価に影響してしまいました。今後の人事発表では、ほかの表現にします」と反省。「ただ、社長人事も重要な経営課題なのですが……」と苦笑いした。

さて、「今回の発表は社長交代」という報道が、記者発表の午後3時を待たずに流れたが、ひょっとしてひょっとすると、株価下落に驚いたANA側がリークしたのかもしれない、などと考えてしまった。

(並木秀一)