就任1年目にして、セビージャをリーガで優勝が争えるほどのチームへ変貌させたサンパオリ監督。攻撃サッカーを標榜するだけにバルサとの相性は悪くないはずだ。(C)Getty Images

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 チャンピオンズ・リーグの決勝トーナメント1回戦ファーストレグ、2月14日にバルセロナは敵地パルク・デ・プランスでパリ・サンジェルマンに0-4で敗れた。

 印象的にはスコア以上の完敗だった。プレーの質と量、さらにメンタル的な部分も含めたあらゆる点で、バルサはパリSGより劣っていた。なかでも圧倒的な“差”を感じさせたのが、両チームの指揮官がこの試合のために用意した戦術の精度と完成度だ。

 セルヒオ・ブスケッツは試合後、「相手のほうが良いサッカーをしていたし、戦術的に優れていた」と語り、地元紙はこれを「指揮官を叱咤」と伝えたが、ブスケッツだけでなく、バルサの選手たちがルイス・エンリケ監督の采配に対して疑問を抱いているのは疑いようのない事実のようだ。

 そもそも、地元ラジオ局の報道によれば、バルサの選手たちは昨年末あたりからルイス・エンリケ監督の能力に限界を感じており、今シーズン限りでチームを去ると確信しているようなのだ。そこへきて今回の大敗。指揮官に対する失望が膨らんだのは間違いないだろう。

 ルイス・エンリケ監督の現行契約は今シーズン終了まで。バルサのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は昨年末の時点で、「交渉時期は4月か5月になるだろう」と話していたが、当時からチームが置かれた状況は大きく変化した。チャンピオンズ・リーグでこのまま敗退となれば、交渉自体が行なわれない可能性もある。

 実際、すでに後任探しに動き始めているとの情報もあり、ふたりの新監督候補がリストアップされている。

 ひとりはセビージャで魅力的な攻撃サッカーを展開するホルヘ・サンパオリ監督。もうひとりは、ヨハン・クライフが率いた“ドリームチーム”でのプレー経験を持つアスレティック・ビルバオのエルネスト・バルベルデ監督だ。

 そして、優先順位の上位に位置するのは、サンパオリだ。

 このアルゼンチン人監督は、セビージャと2018年6月までの2年契約を結んでいるが、スペインの各メディアが先ごろ報じた内容――セビージャとの契約解除金は150万ユーロ(約1億8000万円)――が正しければ、今夏の招聘も夢ではない。

 サンパオリ自身はセビージャ残留を強調しているものの、以前アルゼンチン代表監督への就任が噂された際に、「世界一の選手(リオネル・メッシ)を率いてみたい」と語っていたのも事実。今後の動向から目が離せない。

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部