歯磨きタイムは食後30分待つ必要ナシ

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勤務先でランチタイムの後、あなたは歯を磨くだろうか。磨くなら、場所はどこか。職場での歯磨きを巡ってツイッター上では、トイレで歯磨きをしている人が多く、落ち着いてトイレで用を足せない、長時間洗面台を占領する人に困っているという投稿が見られた。

さらに、「食後すぐの歯磨きは歯の健康上よくない」との指摘もある。インターネット上をしばしばにぎわせるこの主張、本当なのか、都市伝説にすぎないのか。

虫歯予防のため、いつ磨けばよい?

一時期「食後すぐに歯を磨くと歯の再石灰化を妨げ、むしろダメージを与えてしまうので、少なくとも食後30分 以上経ってから歯みがきをするのが望ましい」という説が出回っていたことがある。

今でも信じている人がいるかもしれないが、実は日本口腔衛生学会や日本小児歯科学会が既に明確に否定しており、両学会のウェブサイトでその説明を確認できる。日本口腔衛生学会のサイトに掲載されている「食後30分間、ブラッシングを避けることの是非」を見ると、「『食後30分間、ブラッシングを避ける』は正確性に欠ける表現」と記載されている。そして、食後の歯磨きを怠ると、歯垢中の細菌によって酸が産生され歯が溶けだしてしまうため、食後すぐに歯を磨くことは、虫歯の予防に有用だと断言している。

ただし、このふたつの学会によると、ある口内トラブルだと診断されている人は、食後30分から1時間は歯磨きを避けたほうがよい。そのトラブルとは「酸蝕症(酸蝕歯)」だ。

「酸性の飲食物」の食べ過ぎに注意

酸蝕症は炭酸飲料や酢、柑橘類の果汁といった酸性(pHが低い)の飲食物や、逆流性食道炎による胃液の逆流によって歯が徐々にもろくなる、成人の口内トラブルだ。

かつてはメッキやガラス工場で、酸性のガスを吸引することで起きる職業病だったようだが、2015年2月15日に東京医科歯科大学が学会誌で発表した調査では、成人1108人のうち4人に1人にあたる26.1%が酸蝕症だったとするデータが出ている。

同調査では、近年の飲食物は酸性寄りの傾向があるため、一般に広がっているのではと推測しているが、大規模な調査はまだ行われておらず詳細は不明だ。

ただし、誰もが必ず酸蝕症になるわけでもなさそうだ。日本小児歯科学会は提言の中で、歯の表面を覆っているエナメル質は酸に強く、唾液も酸を中和する機能があることから、常時酸性のものを口にしているような極端な状態でない限りは、酸蝕症は起こりにくいとしている。

東京医科歯科大の調査でも、毎日黒酢をちびちび飲んでいた、3か月以上グレープフルーツを1日2個食べていた、など極端な飲食が原因とみられる事例が多い。

酸蝕症の症状は知覚過敏や冷たいものがしみるなど虫歯と同じだが、歯が徐々に溶かされるため、薄くなって先端部分が透けてくるという。

とはいえ、素人が外見や感覚だけで虫歯なのか、酸蝕症なのか判断するのは難しい。気になる場合は歯科で診察を受けよう。