本日2月16日に発売される『かまいたちの夜 輪廻彩声』(R18)。


画面に流れる文章を読みつつ、適切な選択肢を選び、雪山のペンションで起きた事件の解決を図るゲーム。1994年にスーパーファミコンで発売された初代『かまいたちの夜』のリメイクである。新規シナリオも追加され、登場人物のルックスが明確に描かれているとのこと。
ゲーム中、犯人を明かすチャンスは何度か与えられるものの、モタモタしていると周りの人間がどんどん殺されていき、最後は主人公も殺される。初見で事件解決に成功するのはかなり難しい。
初めてのプレイで、皆殺しにされてしまった時には、死んでしまった連中に申し訳なく思う気持ちと、姿の分からぬ殺人鬼への不気味さで頭が一杯になった。
しかし、怖いもの見たさで何度かプレイしていくうちに、ある思いが生まれてくる。「主人公、死に過ぎてないか」と。
何通りもある選択肢を試していくと様々な人物から様々な方法で殺される主人公。マシンガンの銃撃を身体中に浴びて死んだり、突如現れた三船敏郎に日本刀で切られたりと、ホラーゲームらしからぬ豪快な死に方をすることも多い。
一体、主人公はゲーム内で何回死んでいるのか。リメイク版も発売することだし、そろそろはっきりさせなくてはならない。
43通りのエンディング(真理の探偵物語、ちょっとHな〜を除く)を死亡ルート、生存ルート、言及なしルートに分別したのを円グラフにしてみた。


全エンド中、死亡回数25、生還回数11、言及なし(生死の描写を曖昧にした)の回数7。半分以上は死亡ルートが用意されている。
というのも、事件前の選択肢をどう選んだかによって登場人物の立場、役割が変わって、起きる事件も変化するからである。普通の殺人事件を解決するミステリー編、オカルトホラーの色合いが強い悪霊編、ペンション内での銃撃戦に巻き込まれてしまうスパイ編、ペンション奥深くにあるという宝を探す迷宮編など、様々なパターンに分岐する。もちろん、起きる事件が変われば犯人も変化する。
単純計算で4回のうち1回は生存エンドがあり、死亡エンドは2分の1。この死亡率は果たして高いのか低いのか。今回は、主人公が、スタッフの遊び心によって頻繁に殺される「テキスト読み進める系ゲーム」をこれ以外に2つ挙げ、それぞれの死亡数や生存率などの確立を比較しながら、「かまいたちの夜 主人公死に過ぎ説」を検証していく。

主人公の殺人鬼が返り討ちに遭いまくるゲーム



1998年にセガサターンで発売された『金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼』。探偵サイドで物語を進めるのではなく、犯人側でターゲットとなる人物を特定、殺害していき、完全犯罪を達成するという珍しいタイプのゲーム(決して犯罪を助長するためのゲームではない)である。
舞台は、船上とリゾート地の島。少しの手がかりでも残すと、金田一が「謎はすべて解けた!」と叫び出すので、かまいたちとは真逆のスリルがある。
物語に登場する人物は、情緒不安定な連中が多い。主人公に不信感を抱くと、何かと理由をつけて命を奪いにかかってくる。
全エンディングは83通り。かまいたちの夜同様、死亡率や生存率をグラフに表してみる。


死亡数34、逮捕数44、逮捕の描写がない生還ルート4、言及なしが1。かまいたちと違うのは、逮捕エンドがあること。舞台がクローズドサークルという共通点はあるが、剣持警部も登場するため、TPOを考えない殺人は、すぐに御用となる(そのくせ、主人公が殺されそうなときには全然駆けつけてくれない)。
確率で言えば、かまいたちのほうがたくさん主人公が死ぬが、回数だけを見ると金田一の方が上。主人公もその場の思い付きで犯行に及ぶので、冷凍庫から出られなくなって凍死、というような情けない死に方が多い。かまいたちの夜よりは気軽に遊べる。

バッドエンドでクリアになる鬱ゲーム



それぞれ独立した13の話を読み進めていくゲーム『黒ノ十三』。ミステリー作家の綾辻行人が監修を務めたゲームとして有名。時折出てくる3択の中から適切なものを選択すると物語が進む。4話クリアするごとに新たな話をプレイできるようになっていく。
かまいたちの夜や金田一と違うのは選択肢を間違えた瞬間にENDとなってしまうこと。

腕を見る→腕時計が止まっていたので、時計屋に行こうとしたら車に轢かれて死んだ

というように2,3行で終わる死亡エンドもたくさん用意されている。
全エンド数146のうち主人公の死亡エンドは62、生存は69、言及なしが18、逮捕が1。例によって円グラフにしてみると


こんな結果になった。エンド数が100を超えるため、死亡数自体はかまいたち、金田一の倍近くの数字になるが、それ以上に生存エンドも多い。というのも、このゲームはハッピーエンドもゲームオーバーとなってしまうからだ(ハッピーエンドでクリアの話もほんの少しだけある)。
例えば、「仮面」という話。夜に出歩くと仮面人にさらわれるという話を夜中に思い出して眠れなくなった少年の物語。

壱 仮面人について考えることにした。
弐 何とか眠ることにした。
参 12時まで起きていることにした。

これが最初に出てくる3択。正解を選べば、話は進んでいくのだが、ここで誤ったものを選ぶとそのまま何事もなく朝が来て終了。もう一度、セーブ地点からやり直しになる。
主人公が凄惨に死亡してクリアという話もいくつかあるので、事件を解決して生き残るのが目的のかまいたちとは、対極的な関係にある。

三つのゲームの大雑把なエンディングのカテゴリーをグラフにしてみる




金田一が逮捕エンド多めなのに対して、かまいたちは0、黒ノ十三は1つだけとなっている。かまいたちは吹雪に見舞われた雪山のペンションで電話線が切られており、黒ノ十三は人智を越えた怪奇現象ばかり起きるため、警察が介入できない。国家権力が役に立たない状況というのも恐怖感の増大に一役買っているんじゃないか。
一方、生死の描写を曖昧にぼやかす「言及なし」が多いのは、かまいたちや黒ノ十三。外見がはっきり描写されない登場人物や、音量差の激しいBGMという要素もあり、すべてが語られなくとも、悪い方向に想像がかきたてられてしまう。
特に、歴代のかまいたちシリーズでよく見かけるのは、プレイヤーに対する直接的精神攻撃。制作陣による裏話っぽい怪談が、ゲーム自体がバグったかのように展開される。メタルギアソリッドでいうところのサイコマンティスが、勝手にテレビ画面をいじくってくるような感じで(ビデオという字幕をヒデオに変えてくる)。
確かに「かまいたちの夜」は主人公がよく死ぬゲームだ。しかし、死に過ぎ展開にプレイヤーが慣れ掛けてくるころ、思わぬ形で牽制を入れてくるのだ。
(山川悠)