病院以外にも、薬局・ドラッグストアで買える薬(一般用医薬品)についても見てみよう。身近な薬の一つとして、風邪薬(総合感冒薬)がある。毎冬、各製薬会社が頻繁にテレビCMを放映しており、家庭の薬箱にこれらの風邪薬を常備している読者も多いのではないだろうか。しかし、これらの風邪薬では風邪を治すことはできない。
 「風邪は、ウイルス感染によるものがほとんどです。風邪をひくと、熱、鼻水や咳などの症状が出ます。これらは体がウイルスを攻撃し、体の外に追い出そうとする免疫反応です。風邪薬は、このような症状を緩和するためのもので、風邪を治すためのものではありません」(同薬剤師)

 やはり風邪を治すには、病院に行って医師の診察を受け、薬を処方してもらうほかないのだろうか。
 医師や薬剤師などが多数在籍し、メディカル・サイエンス分野の編集に特化する『メディカルライターズネット』のあるライターは、こう指摘する。
 「病院では、抗生物質を処方されることがありますが、抗生物質もウイルスには効果がありません。風邪をこじらせた場合に肺炎を起こすことがあります。抗生物質は、この肺炎予防のために処方されることが多いようです」

 たとえ医師であっても、症状の緩和だったり、悪化を見越しての予防にとどまり、風邪を直接治すことはできないのだ。風邪を引いたときは、混雑する病院に無理に行き、受診する必要はない。体調不良で受診してもかえって疲れるだけで、他の患者にも風邪を感染させてしまう恐れもある。栄養を取り、安静にしておくことが最もよい治療法だということだ。

 薬局・ドラッグストアには、薬のほかにも健康食品を豊富に扱っている。錠剤やカプセル、粉末状のものなど、見た目には医薬品と変わらないものも多い。何が違うのだろうか。
 医薬品と健康食品の違いを一言で言えば、科学的な裏付けの有無とその強さだ。医薬品の場合、人間を対象とした厳格な臨床試験において効果と安全性が認められる必要がある。そのデータを根拠とし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審議され、通過したものが厚生労働省で承認される。

 しかし、健康食品ではこのようなプロセスは存在しない。
 例えば、健康食品として、膝によいとされるグルコサミンやコンドロイチン、目によいとされるブルーベリーやアントシアニン、黒酢、青汁、スーパーフードとして一時もてはやされたスピルリナなどがある。これらは科学的な根拠がないか、もしくははっきりと分かっていないものだ。これらの科学的な根拠は、国立健康・栄養研究所が運営するウェブサイト『「健康食品」の安全性・有効性情報』で確認できる。
 例えばスピルリナを検索してみる。ちなみに、スピルリナとは藻の一種で、薬局などでは錠剤にした健康食品が多く売られている。しかし、同サイトではスピルリナの有効性に関する明確な記載はなかった。一方、安全性については、肝障害を引き起こした例、フェニルケトン尿症を悪化させた例などがある。