『バイキング』HPより

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 先週末より大騒動となっている清水富美加の幸福の科学への出家問題。今日もワイドショーやスポーツ新聞では大きな扱いで報じられている。

 しかし、薄給かつ過剰労働で彼女を精神的に追いつめていたレプロエンタテインメントもバーニングタブーで責めることはできず、かといって幸福の科学も訴訟や出稿をめぐるメディアタブーのひとつなので叩くこともできないメディアは、奥歯に物が挟まったような言い方や、清水富美加個人の問題に帰結させるような語り方をするしかない状況が続いている。

 そんななか、なかなか興味深い発言をした人物がいた。情報番組で世の空気に媚びた保守的発言連発し、コメンテーターとしてひっぱりだこになっている芸人の小籔千豊だ。

 14日放送の『バイキング』(フジテレビ)でのこと。この日も同番組もご多聞に漏れず、芸能人たちの利益共同体維持のため、レプロでも幸福の科学でもなく、清水個人に対して批判的な言葉が飛び交っていた。MCの坂上忍を中心に「仕事が飛ぶことが許せない」「自分たちも駆け出しの頃はそうだった」「業界のルールがある」などと清水個人を寄ってたかって責め立てていた。ところが意外な男がこの空気に乗らず、清水をかばったのだ。

「これはもうわからん。最初、宗教法人さんと事務所さんの言うてはること見たら、『あぁ、どっちなんやろなぁ? それこそ富美加ちゃんに聞いたら何て言うんやろな?』と思ったんですけど、もうここまで来たら、ちょっと僕はええ子やと思ってたし、可愛らしい、どっちかって言ったらええ感じの子やなと思ってたんで味方してあげたいんですけど」

 たしかに、清水はバラエティタレントとしても大人気で、そのサービス精神旺盛で天真爛漫なキャラクターは共演者の芸人たちからも愛されていた。小籔もそのひとりなのだろう。とはいえ、普段、不祥事を起こした(とくに若い)芸能人に厳しい言葉を投げつける小藪にしては、優しすぎないか。

 とくに、小籔は近年、「説教ガンコ親父」的なキャラクターを前面に押し出している。普段であれば、こういった「慣例」や「仁義」といったものに反する話に対して相当キツい口調で責め立てるはずだ。それが清水に対しては、「ええ子や」「味方してあげたい」というのは、かなり違和感がある。

 しかも、小籔は茂木健一郎や伊集院光のように、レプロのブラック体質や、芸能界の理不尽なルールに異を唱えているわけではなく、その理由がよくわからないのだ。

 しかし、過去の番組共演映像から、小籔が清水のことを「ええ子」と言った意外な理由が明らかになった。小籔が彼女のことを褒めていたのは、単純に「性格のいい子」というレベルの話でなく、どうも清水の"宗教観"に惹かれていたっぽいのだ。

 小籔と清水は2015年7月18日放送の『メレンゲの気持ち』(日本テレビ)で、お互いゲストとして共演している。朝ドラ『まれ』(NHK)の放映中で、清水はまさにブレイク真っ最中の時期のことだ。

 この番組でも清水はその『まれ』(NHK)で共演する土屋太鳳の仕事に対するストイックな姿勢を絶賛し、「いつ死んでも天国に行くっていうくらい清らかなんですよ。悪いところが一個もない」などと語るなど、いま聞くと意味深に感じてしまうような話を披露していた。

 また『まれ』のヒロインオーディションに応募したのに、親友役でヒロインには落ちてしまったと父に報告すると、父から「修行するつもりでがんばってこい」と厳しく叱咤されたというエピソードを話すと、小籔は「最高のお父さんですよ」「知り合いのお父さんと飲みたいと思ったことないけど、清水さんのお父さんとやったら、飲めますね」などと、清水の父を絶賛した。

 さらに清水が「柴犬が好き」という話をするなかで、「日本犬がけっこう好き」と話すと、小籔が拍手しながら「すごい!ちゃんとしたお父さんに育てられてる」と褒めはじめた。小藪の"日本スゴい""愛国ポルノ"的発言はいまに始まったことではないが、犬まで"日本スゴい"とは。

"日本の犬スゴい"だけでも笑ってしまうが、小籔はさらにこんなふうに絶賛したのだ。

「すごいちゃんとしたお父さんに育てられてるなって思うんですよ。さっきも『天国に行く』とか『地獄に行く』とかちゃんと仏教的な思想が。そして、日本の犬も好んでいる。お姉さん2人も素晴らしい方でしょうね」

 清水が土屋太凰について「いつ死んでも天国に行くっていうくらい清らか」と評したことをわざわざもち出して、「ちゃんと仏教的な思想」などと清水の父の教育を絶賛したのだ。

 ふだんエラそうに「おれは大人で良い悪いがきちんとわかってる」体で説教をぶちまくっている小籔だが、「天国」とか「地獄」とか(「日本犬が好き」とか)いうだけで、「ちゃんとしてる」って浅すぎないか。ていうか、そもそも、「天国」って「仏教思想」じゃないだろう。

 こんな程度の発言に感銘を受けるなんて、もしかして小籔も幸福の科学信者なのか?とつっこみたくなるではないか。

 もちろんそんなことはありえないだろうが、しかし、小籔と幸福の科学の価値観には案外、共通点が多い。幸福の科学といえば、憲法9条の改正どころか、中国や北朝鮮の脅威に対抗して核武装まで主張。従軍慰安婦や南京大虐殺を誤った歴史認識とするウルトラ極右だが、小籔もそこまでではなくても、同様のネトウヨ的極右思想をもっていることは、ふだんの言動の端々からうかがえる。

 女性の権利の問題についても、幸福の科学はジェンダーフリーや男女平等を否定する立場で、小籔もまた、テレビでとにかく家父長制復活思想丸出し、女は男に付き従え、子どもは親の言うことを黙って聞け、というような発言を連発している。

 しかも、これだけ保守的な主張を展開しながら、経済だけは妙に新自由主義的だったり、根っこにサブカル的なギミック感があるところもよく似ている。

 清水とその父親をここまで過剰に褒めたというのは、たぶん、小籔自身が彼女のなかにある幸福の科学的価値観に無意識に共鳴してしまったためなのかもしれない。

 意外なところで明らかになった思想の浅さだが、清水の宗教観や父親のしつけについてそこまで「ちゃんとした」「素晴らしい」ものだというなら、いっそ、小籔自身が幸福の科学に出家してみるのはどうだろう。それで、テレビから小籔が消えてくれて、あの強者の論理丸出しのネトウヨ的説教を聞かされることがなくなったら、こんなにうれしいことはないのだが。
(本田コッペ)