マジック・リープ元社員「CEOの性差別と誇大宣伝」を提訴

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2月13日、拡張現実(AR)企業マジック・リープの元女性社員が、同社を相手取った訴訟を起こした。

同社でマーケティング戦略部門のヴァイスプレジデントを務めたタネン・キャンベルは、フロリダ州の連邦裁判所で提訴を行った。訴状で彼女はマジック・リープが性差別的な職場環境を放置し、製品に関して不正確な情報を流してマーケティングを行っていると主張している。

キャンベルは、同社のロニー・アボヴィッツCEOが職場から女性たちを排除し、労働環境の改善を怠った結果、自分は解雇されたと述べている。また、労働環境の悪化が、「数十億ドルもの資金を集めたプロダクトの立ち上げを遅延させる結果を招いた」としている。

マジック・リープの設立は2010年。ARヘッドセットの開発を行う同社はこれまで14億ドル(約1,600億円)の資金をグーグルやアリババから集め、評価額は45億ドルとされるが、現在に至るまで一切プロダクトを発表していない。

昨年暮れにニュースメディアInformationは、投資家らは初期のプロトタイプのデモ動画を見て資金を注いだが、「実際の製品は、そこに提示されていたような機能を持たないと思われる」と伝えていた。

また、先週はBusiness Insiderが初期のプロトタイプとされる写真を掲載したが、それは見るも無様な姿をしていた。

訴えでキャンベルは、「社内で、この会社は実現不可能なテクノロジーを宣伝しているのではないかという疑念を表明したが、男性の同僚からは無視された」と述べている。さらに同僚らはユーチューブに掲載されたプロモーション動画は、彼らが実現を”熱望している”製品を映したもので、マジック・リープ版の”もう一つの事実”ではないとも述べている。

もう一つの事実(alternative facts)という言葉は、ドナルド・トランプ政権のスパイサー報道官が記者会見で、苦し紛れに用いた言葉からの引用だ。

CEOの周りにはイエスマンのみ

キャンベルは2015年4月にマジック・リープに入社したが当時、管理職には一人も女性が居なかったという。面接の際に「ここはボーイズクラブのようですね」と冗談を言ったところ、CEOのアボヴィッツは「改善する」と述べたという。

社内の幹部らは全員「アボヴィッツにへつらう人間ばかり」だとキャンベルは述べている。唯一の女性幹部のRachna Bhasinも、アボヴィッツが常識外れなことを言っても、絶対に異議を唱えなかったという。

キャンベルは数か月にわたり不満を訴え、パワーポイントで資料を作り「全社員の14%しか女性がおらず、エンジニア部門では3%しかいない。これは異常だ」と訴えたが、その意見は聞き入れられなかった。

社内は性差別的な空気に満ちており、2016年9月の会議で同社のCFOは「俺は今、二人の綺麗な女性たちの間に座っているが、彼女たちはその可愛い顔にでっかい不細工なガジェットなんかつけたくないだろう」と発言したという。

訴状には「CEOのアボヴィッツは会社の方針を決定する能力が無い。物事を全て保留にし、無駄な会議や人材の配置転換を繰り返しており、それが原因でマジック・リープは製品を送り出せずにいる」と書かれている。

結果的にキャンベルは解雇を告げられことになった。会社側は、彼女が訴えた不満を撤回することを条件に、3か月分の給与を退職金として支払うと述べたが、彼女は応じなかった。

訴状は、マジック・リープの性差別的環境が会社の機能不全を招き、マイクロソフトのHoloLens等の製品に先を越される事態を招いたとしている。

「マイクロソフトはマジック・リープよりもはるかに多くの女性社員を雇用しており、類似製品を迅速に開発し、男女を問わず受け入れられるコンテンツを提供している」とキャンベルは主張している。