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三大神経物質の1つとして知られるセロトニンは「うつ」や「やる気」との関わりが指摘されています。このことについてマウスを用いてセロトニンの分泌を誘発するような実験を行ったところ、「ゴールがない」状況にあったマウスでは活動が控えめになったことがわかりました。一方で、ゴール設定の有無に関わらず長期的にセロトニンの分泌を誘発されると、マウスはより活動的になったとのこと。

Transient inhibition and long-term facilitation of locomotion by phasic optogenetic activation of serotonin neurons | eLife

https://elifesciences.org/content/6/e20975



More Serotonin, Less Motivation? It Depends on the Circumstances - Neuroscience News

http://neurosciencenews.com/serotonin-motivation-6112/

この研究を行ったのはシャンパリモー財団・未知の世界センター(CCU)のザカリー・F・マイネン研究員ら。結果はオープンアクセス誌のeLifeで公開されています。

セロトニンは生き物が生きていくのに不可欠な「睡眠」「運動機能」などの調整で重要な役割を果たしています。脳内のセロトニン濃度が低いことはうつ病にも関わってくることから、抗うつ剤としてプロザックのような選択的セロトニン再取り込み阻害薬が知られています。ところが、セロトニンを生み出すニューロン(セロトニン産生ニューロン)に関する実験を行うことは難しいため、この薬がどのように脳内で作用しているのかは分かっていなかったとのこと。

そこへ出てきたのがオプトジェネティクス(光遺伝学)と呼ばれる、光を用いて生物の個々の細胞を選択的に活性化したり阻害したりする技法です。CCUの研究チームはオプトジェネティクスで、マウスの背側縫線核のセロトニン産生ニューロンを活性化しました。

すると、数秒間だけセロトニンを生み出すように誘発させられたマウスは「水を探す」「穴を掘る」のような行動をしていない時のみ、移動速度が約50%低下しました。この速度低下は、個体の持つ移動速度とはほぼ無関係なもので、日常に不自由をもたらすほどの「運動障害」を起こすことはありませんでした

研究チームによると、この結果は「セロトニンはやる気を減少させるが、はっきりした目的があればやる気の減退を克服できる」ことを示しているとのこと。

なお、セロトニン誘発を数週間にわたって反復して行うと、今度はマウスはより迅速に行動するようになったそうです。