大腸憩室炎という病名を聞いたことがあるだろうか。耳慣れないが、食生活の変化でじわじわ増加している疾患の一つだ。

 長年の便秘や腸管のけいれんなどで腸内の圧力が上昇すると、腸粘膜が圧力に負け、筋肉層のすき間から腸の外側へ袋状にぽこっと「はみ出す」ことがある。内側からは腸がペコペコ凹んでいるように見える。このくぼみが「憩室」で、憩室の数が増えると憩室症と診断される。

 憩室症の多くは無症状だが、時に出血を起こしたり、くぼみ内に便が詰まって血管を傷つけ、炎症──憩室炎を引き起こす。典型的な症状は、周期的に下腹部が痛み、時間がたつにつれて熱や血便がでる。日本人の好発年齢は40代後半〜50代前半で、男性に多い。

 先日、米国の男性医療従事者を対象とした疫学調査「HPFS」から、赤身肉の摂取量と憩室炎の発症リスクが関連するとの報告があった。

 調査では、赤身肉(加工肉と未加工肉)、鶏肉、魚の摂取量と憩室炎との関連を検討。HPFS登録の約4万6000人を追跡した。期間は1986〜2012年で、4年ごとに食生活に関する質問を行っている。またこの間に、764例が憩室炎を発症した。

 野菜の摂取量や喫煙などの生活習慣因子の影響を補正して解析した結果、週に1.2サービング(約100g)と最も赤身肉の摂取量が少なかった人と比較して、週に13.5サービング(約1150g!)を食べていた人は憩室炎リスクが約60%増加。

 また加工・未加工を問わず赤身肉を毎日食べると、発症リスクが18%上昇することも判明している。その一方で、1日1サービングの赤身肉を鶏肉や魚に置き換えた場合は、発症リスクが20%低下した。

 研究者は「今回の結果は、憩室炎リスクがある人の食生活指針になるだろう」としている。

 さすがに日本の一般中高年は、週に1kg以上もの赤身肉を食べないと思うが「毎日肉じゃなきゃ!」という人は珍しくないだろう。

 お疲れ気味の腸のために週に1、2日は「休赤身肉日」をつくり、煮魚や鶏肉の酒蒸しを楽しみたい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)