SABU監督のコンペティション参加作品
「Mr. Long ミスター・ロン」

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 現在開催中のベルリン国際映画祭で2月13日(現地時間)、チャン・チェン主演、SABU監督のコンペティション参加作品「Mr. Long ミスター・ロン」が上映され、喝さいを浴びた。レッドカーペットにはSABU監督とチャン・チェンのほか、共演のイレブン・ヤオと青柳翔(EXILE)も顔を揃えた。上映後、SABU監督は「ほっとしました。コメディやノスタルジックな場面に対する観客の反応が狙い以上で、さじ加減は間違っていなかったと思えた。見ている最中に涙が出てきて、隣のチャン・チェンに見られたらまずいなと思っていました(笑)」と語った。

 本作は、SABU監督にとって初めての海外とのコー・プロダクション作品。それだけに注目度も高かったが、公式上映に先立っておこなわれたプレス上映でも、希なケースとして拍手が沸き起こっていた。

 物語は、チャン・チェン扮する台湾の殺し屋が東京に派遣された後、相手側の追手から逃れるなかで台湾人の女(イレブン・ヤオ)とその息子に出会い、徐々に絆を深めていく。会見で、SABU監督は本作の経緯について「チャン・チェンにはこれまで何度も映画祭などで会う機会がありました。『天の茶助』の宣伝で台湾に行ったときも会って、映画に出ないかと訊いたらやりたいと言ってくれた。それで彼のためにこのシナリオを書きました」と語った。一方チャン・チェンは以前から監督のファンだったことを明かし、「特に『弾丸ランナー』や『ポストマン・ブルース』など、初期の作品がとてもインパクトが強く、それ以降も常に彼の作品はフォローしてきました」と明かした。

 さらに「この主人公は冷血な殺し屋というわけではなく、内面の葛藤がある、多面的なキャラクターであるところが魅力的だった。わたしたちはこの脚本を素晴らしい形で映画化できたと思っています。監督に対してとても信頼を持てたし、彼はそれぞれのシーンを絵のように美しく撮っています」と最大限の賛辞を送った。青柳も「SABU監督の作品に出られるということが嬉しかったので、ちょっとでもいいから出演させてもらいたいと思いました」と語った。

 SABU監督は、処女作「弾丸ランナー」が同映画祭のパノラマ部門に入選して以来、ベルリンとは縁があり本作が9回目の参加。コンペは「天の茶助」に続く2度目の入選となった。「ここまで来るのにほぼ20年かかりました。ポストプロダクションを今回ベルリンでやったんですが、街で声をかけられたりして嬉しかったです(笑)。ベルリンに育ててもらった感じがありますね」と、しみじみと感慨を噛みしめた。(佐藤久理子)