【意外と知らない】V8・V10・V12など気筒数が多いと何がいい?

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回転バランスがよくなり振動が少なくなる

シリンダーが増えることによるもっとも大きなメリットは振動が少なくなることです。エンジンが1回転する間に、何回燃焼するのか? シリンダーの数が増えるほど多くなります。

同じパワーを出力しているとするなら、力強いパンチを打つか、細かいジャブを数多く打つか、そんなイメージがわかりやすいかもしれませんね。

回転バランスが良いということは、低回転域でも、高回転域でも、使える領域が拡大します。4気筒だとアイドリングは700rpm(回転/分)前後ですが、8気筒や12気筒だと500rpmになるのが普通です。

よくV8、V12というと高回転が苦手だ、というイメージしている人が居ますが、それは間違いです。低回転向きにセッティングされたモデルが多いだけです。大排気量の多気筒エンジンを低回転でゆっくりと回して走らせるのが、もっとも信頼性を高める最大の手法です。

そもそも昔の高級車はシリンダー数が多かったんです。それは燃焼が安定していなかったので、多気筒化することで振動を抑えること、さらに1〜2気筒ぐらい調子が悪くなっても走行が続けられるように、多気筒というのが高級車の要件だったんです。

部品が多く抵抗が大きくなるというデメリットも

レーシングエンジンでは回転限界を高める=パワーアップするという図式なので、多気筒化が正義です。だから気筒数はレギュレーションで上限が決まっているのが一般的です。

制限がなかった時代のF1では、BRMが66年に3リッターH16型(水平対向8気筒を2段重ねにした構造)を登場させているし、ホンダも65年にGP125クラスに直列5気筒を採用し回転限界が24000rpm以上、使用下限が12000rpmという超高回転エンジンを生み出しています。

気筒数が増えると回転バランスが良くなり、滑らかで快適になるのですが、エンジンが大型化し、運動するパーツが増えるのでフリクションも大きくなります。

ダウンサイジングターボという現代のコンセプトは、そうした多気筒エンジンのデメリットを解消するための手法のひとつです。回転バランスや滑らかさは最新設計の技術や高度な制御によって補うことができます。

しかしレスポンスや回転が上がっていくときのフィーリングは、やはりシリンダーの数が多いほど刺激的です。アクセルを踏んだ瞬間、エンジンはすぐには応答できませんが、その応答遅れが気筒数が多いほど小さくなります。

音の面でも、多気筒のほうがより高音で澄んだ音になる傾向にあります。エンジン単体でみれば、6気筒よりは8気筒、さらに10気筒、そして12気筒と、エキサイティングであることは間違いありません。