昨年8月の台風10号(ライオンロック)により甚大な被害が発生した北朝鮮に対して、国際社会は物資や資金など様々な援助を提供してきた。ところが、北朝鮮はこれらの援助を、タワーマンションやレジャー施設の建設に流用していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、公共施設や住宅の修復、再建には国際社会からの援助が使われたが、それは全体のごく一部に過ぎない。被災者復興住宅に入居した人の中で、物資を受け取れたのは約6割に過ぎず、それもコメ、薪、食用油、ハタハタなど北朝鮮国内の産品だったという。

物資や資金はどこへ行ってしまったのだろうか。

情報筋によると、資金は平壌市内で建設中のタワーマンション団地、黎明(リョミョン)通りや、元山(ウォンサン)市内で建設中の海底ホテルに回されてしまった。また、中国が送った2千万元(約3億3000万円)の資金も、黎明通りで使う掘削機、鉄筋、セメントなどの購入に使われた。

海底ホテルは元山観光特区建設の一環として、金正恩党委員長が2014年8月に建設を指示したものだが、2000万ドル(約22億7000万円)の建設費が確保できず、基礎工事を終えた段階でストップしていた。

昨年11月、金正恩氏は建設の再開を指示し、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)工兵局第1旅団の人員が工事にあたっているが、これは援助資金や物資の流用で可能になったのだという。

さらに、缶詰やロシアから送られたディーゼルオイルは、すべて軍事物資に回し、1月8日の金正恩党委員長の生誕記念日に全国の子どもたちに配られたお菓子セットも国際社会の援助物資を流用したものだ。

つまり北朝鮮当局は、国際社会からの援助のほとんどを、マンションやレジャー施設の建設に流用し、体制のプロパガンダに利用したということだ。

援助物資や資金の北朝鮮当局による流用は、まったく珍しくない。2010年8月、鴨緑江が氾濫し、新義州(シニジュ)市一帯が水害に見舞われたが、これに対して中国が支援した建築資材を、元山のレジャー施設の建設に流用した。

また、江原道(カンウォンド)の洗浦(セポ)大地で進めている大規模牧畜基地の建設にあたって、労働者にテントと毛布が支給されたが、これも元は国際社会の援助品だ。

さらに、国連の世界食糧計画(WFP)が、栄養失調に苦しむ北朝鮮の子どもたちのために製造した栄養強化ビスケットの材料も、軍や建設現場に流用されている。