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京都大学(京大)は2月14日、ガンマ線を幾何光学に基づき定量的に画像化する手法を発見し、福島地域におけるガンマ線観測でその実証に成功したと発表した。

同成果は、京都大学理学研究科 谷森達教授、高田淳史助教らの研究グループによるもので、2月3日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

ガンマ線は高エネルギー光子であり、波としてより粒子として振る舞うため、画像化においては屈折など光学的手法が使えない。そこで、ガンマ線が物質の電子と散乱するコンプトン散乱反応について、ガンマ線1事象ごとに散乱ガンマ線と反跳電子の両方の方向・エネルギーを測定し、運動量保存則を用いて入射ガンマ線の方向を求め、計算機上で幾何光学に基づく集光を行い画像化する手法を用いる。

電子の反跳方向測定は長年のあいだ困難と考えられており、物理量のみを測定しコンプトン散乱角のみを得るコンプトンカメラが研究されてきたが、同カメラではガンマ線の到来方向が一方向に決められず像も円環状に広がってしまうため、円環を1事象ずつ重ねてガンマ線分布を推測する疑似画像化を使用する必要があった。

そこで同研究グループは、電子の反跳方向に感度を持ち得るガス検出器を独自に開発。ガンマ線ごとの散乱現象を完全に解き、計算機上でレンズと同様に点としてガンマ線を集光させ画像を描くことに成功した。

同技術を利用したカメラ「Electron-Tracking Compton Camera(ETCC)」を用いて福島の汚染地域の撮像試験を行った際は、画像から地表面のセシウム量(ベクレル値)の分布を定量的に示すことに成功。この放射線強度からIAEAの基準に従って求めた地上の線量分布は、撮像実験とは別に測定した線量計の結果と一致していたという。

同研究グループによると、同技術は幾何光学原理に基づく手法であり、宇宙のような無限遠の放射線源や通常の環境放射線量の数千分の1という超微弱量も画像化可能。また、粒子識別能力を持つため他粒子の雑音除去能力があり、宇宙環境・粒子線治療など高放射線環境でも使用できるとしている。

(周藤瞳美)