F5WC日本大会を制した「DEL MIGLIORE CLOUD群馬」。一番左はアンバサダーの前園真聖氏 世界のサッカー人口はFIFAの発表によれば、2億7千万人。別機関の調査では、その6倍以上という結果もある。いずれにしろ世界で最も愛されているスポーツであることは間違いないが、アマチュアの場合は他国の選手たちと対戦できる舞台は多くない。そうした世界中のアマチュア選手たちに「スポットライトを当てる」をコンセプトに、2013年から始まった5人制サッカーの国際大会が『F5WC』だ。

 今年5月に北京で開催される『F5WC』に、日本代表として挑む1チームを決める国内予選の決勝大会、『アットホームF5WC JPAPAN CHAMPIONSHIP 2016-2017』が、2月12日に味の素スタジアムで行なわれ、東北、関東、東海、関西、九州の地方予選会を勝ち抜いた30チームと、前回優勝と特別推薦を加えた32チームによって代表の座が争われた。

 国内ではまだ馴染みが薄い5人制サッカーは、プレー人数やピッチサイズなどフットサルと似通う点は多い。ただし、ボールの大きさがフットサルは4号球に対し、5人制サッカーは5号球を使用するため、フットサルよりもボールを浮かすプレーが増える。

 F5WC日本大会のアンバサダーを務める前園真聖氏は5人制サッカーの魅力を、「ボールを蹴ってゴールを奪うという醍醐味においては、11人制、フットサル、5人制と、どれも同じですね。そのなかで5人制サッカーの魅力は、フットサルと11人制の両方の良さがミックスされている点でしょうね。だから両方の経験者が楽しめます」と説明する。

 その言葉どおり、各地区合わせて300を超すチームが参加した地方予選会を勝ち上がった各チームには11人制、フットサルの経験者が混在していた。中央大サッカー部員を中心に構成され、昨年の日本代表としてF5WC準優勝を果たした「TamaChan」、フットサル日本代表で主将も務めた元Fリーガーの北原亘、元Jリーガーの加部未蘭、横山翔平、宇留野純、Kリーグでプレーしたキム・ガンミョンなど”元プロ”を中心にした「KING GEAR FC」をはじめ、社会人フットサルリーグの強豪チームが参加していた。

 そうした錚々たる “アマチュア”の頂点には、2016年から関東フットサル1部リーグに昇格した「DEL MIGLIORE CLOUD群馬」が輝いた。

 決勝のKING GEAR戦は両チームとも勝利への執念を前面に出し、ゴールを奪い合う展開になった。白熱したプレーの応酬で前・後半各8分は瞬く間に過ぎ、勝負は2対2のままPK戦へ。PK戦で強烈なシュートを止めて優勝の立役者になったGKの山田忠志選手は、「あの1本はコースを確信していました。対戦することで多くのことを経験させてくれた他チームの選手のためにも、世界大会では昨年の結果を上回れるように頑張りたい」と、意気込みを口にした。


5人制サッカーの魅力を語ってくれた前園真聖氏 白熱した試合が多かった今回のF5WC日本大会を、前園氏はこう振り返る。

「決勝戦は両チームとも勝利にかける執念がみなぎっていて素晴らしかった。ルールなので仕方ないですが、個人的には延長戦での決着が見たかったですね。日本では3回目の開催になりましたが、元プロ選手たちが勝てるとは限らないほどレベルが高まっています」

 向上しているのはレベルだけではない。知名度も年々上昇し、国内予選の参加チーム数は、昨年から一気に約100チームも増加した。優勝した「DEL MIGLIORE CLOUD群馬」は、過去にフットサルで勝利したことのある「TamaChan」が前回大会を制したことを知り、この大会への参加を決めた。

 「今回は元Jリーガーや元Fリーガーといった元プロ選手、社会人リーグで活躍するチーム、現役高校生など、さまざまなバックグラウンドを持った選手たちが参加してくれて、本気で世界を目指してガチガチな戦いをしてくれた。フットサルやサッカーを楽しむ人が増えることも大切ですが、本気で世界を目指して真剣勝負で熱くなる。そうした戦いができる場がこの大会の最大の魅力ですし、そうした試合を選手たちが見せてくれることで、大会の価値や知名度を高めてくれていると感じています」(前園氏)

 昨年の日本代表TamaChanは、予選リーグでアメリカと引き分け、トルコとインドを破って決勝トーナメントに進むと、南アフリカ、イングランド、アイルランドを下して決勝戦に進出。惜しくもコロンビアに敗れたものの、活躍が認められたメンバーのひとりはタイのチームからオファーを受け、もうひとりはオーストラリアリーグに進むキッカケを手にした。前園氏は今年のF5WCに向け、日本代表となった「DEL MIGLIORE CLOUD群馬」への期待をこう話す。

「海外の人たちは街中でやっているサッカーでも、ガチガチに本気で足だって削ってくる。それくらい勝負に熱いんですね。そのうえ、F5WCの世界大会は個の能力も高くてハイレベル。去年の日本代表はチームワークのよさで、その差を補って準優勝した。今年の代表はフィジカル的に劣っていないし、個の部分でも期待できるので、大会までにチームワークと個の部分をさらに磨いて、世界一になってもらいたいですね」

 世界48ヵ国の16歳以上のアマチュア選手たちによって北京で開催されるF5WC。この大会にはチェルシーやマンチェスター・シティなどのビッグクラブをはじめ、各国のクラブからスカウトが視察に訪れ、プレーを見初められて新たな扉を開く選手も少なくない。アマチュア選手が夢をつかむ舞台にもなっているF5WCで、今年の日本代表の「DEL MIGLIORE CLOUD群馬」の選手たちが、どんなドラマを見せてくれるのだろうか。

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