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森林総合研究所(FFPRI)と九州大学は2月13日、無花粉スギ「爽春」の無花粉遺伝子を高精度に検出できるDNAマーカーを開発したと発表した。

同成果は、森林総合研究所林木育種センターの星比呂志 育種部長と九州大学大学院農学研究院の渡辺敦史 准教授らによるもの。詳細は、「森林遺伝育種学会第4回大会」および「Plant and Animal Genome Conference XXV」にて発表された。

スギ花粉症は現在、国民の3割が罹患しているとも言われているが、その林業分野における対策の基本は、歯分の発生源を減少させることにあり、森林総合研究所では、薬剤や森林管理による花粉抑制技術の開発、精英樹を品種改良の母材料とした少花粉スギと無花粉スギの開発などを進めてきた。そうした取り組みにより、現在、森林総合研究所林木育種センターが開発したスギ花粉症対策品種としては、少花粉品種が142品種、低花粉品種11 品種、無花粉品種3品種におよぶが、花粉発生源を減少させつつ、林業の成長産業化を進めるためには、さらに成長などが優れた少花粉品種や無花粉品種の開発などを進めていく必要があった。

この課題を実現する花粉症対策品種を短期間に効率的に開発するためには、無花粉スギなどの特性に関わる遺伝子を保有している個体を高精度で識別できるDNAマーカーが必要であるため、今回、研究グループは約7万のDNAマーカーを開発。その中の1つが、無花粉スギ「爽春」の無花粉遺伝子を高い精度で検出できるDNAマーカーであることを突き止めたという。同DNAマーカーで塩基タイプを調べることで、無花粉遺伝子を保有している個体かどうかを判定することができるようになるが、現段階の判定精度は100%だとする。

実際に、無花粉スギと交配して得られた苗木のの中から無花粉個体を見つけることに成功したとのことで、研究グループでは、今回開発したDNAマーカーにより、無花粉遺伝子をヘテロで保有している個体(花粉は形成するが潜在的に無花粉遺伝子を持っている個体)を新規に探索することに活用できると説明。これを活用することで、無花粉スギの改良が効率的になり、改良のスピードを早めることができるようになるとするほか、すでに爽春と精英樹の交配により、成長にも優れた無花粉スギを開発したとしており、今後とも無花粉スギとの交配や、その交配によって得られた後代の個体間での交配、それらの個体の成長試験などを進めていくことで、花粉が飛散しない多様な無花粉スギの開発を進めていく予定としている。