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東京大学(東大)は2月10日、微小な血管モデルをマイクロチップ上に作製し、既存血管から新しい血管が枝分かれし伸びる現象(血管新生)を3次元的に生きたまま観察することに成功したと発表した。

同成果は、同大生産技術研究所の松永行子 講師、同 高橋治子 特任助教、杏林大学、SCREENホールディングスらによるもの。詳細は学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

血管新生は、主に成長などに伴って身体中で見られるが、成長が止まった部位でも、炎症や低栄養状態、がんなどの病的な状態になると血管新生因子が放出され、未熟な血管が新生することが知られており、がんなどの疾患の治療おいて重要であるとされてきた。

体内で起こっている現象の理解のために、体外で人工的に臓器モデルを構築する臓器チップ(organ-on-a-chip)を用いて、構築された臓器や組織の立体的な評価を行うためには共焦点顕微鏡が用いられてきたが、蛍光物質にレーザー光を当てた場合の光毒性や、蛍光修飾法に制限があるため、生きたままライブ観察するのは不向きという課題があった。そこで研究グループは今回、新たに血管新生の様子を観察できる微小血管モデルをポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製したマイクロデバイス中に構築したほか、3次元構造の変化をライブ観察することを目的に、新たなOCTシステムを開発することで、血管新生の3次元ライブ観察を可能にしたとする。

この結果、蛍光分子の修飾を必要とせずに10μmの解像度で長さ数mmの血管領域を数分で観察ができること、特に、新生血管の部分では、新しい血管が伸びて成長し、中に空洞をつくって成熟していく過程を直接観察することに成功したほか、血管新生だけでなく、構築した微小血管の直径や、容積も経時的に測定することができることを確認したという。

なお研究グループでは、今回の技術について、3次元的な組織の構造を簡便に観察できる手法であり、血管構造以外にもさまざまな臓器を可視化できることから、3次元組織構造体を扱う再生医療や臓器チップなどの医療・創薬研究への幅広い利用が期待されるとコメントしている。