海外メディアの報道によると米アップルはこのほど、韓国サムスン電子傘下のディスプレーメーカー、サムスンディスプレイ有機EL(OLED)ディスプレーの製造に関する契約を結んだ。これによりアップルは6000万枚に上るOLEDディスプレーパネルをサムスンに発注したという。

「iPhone 8」用のディスプレーを確保

 これは韓国の英字紙であるコリア・ヘラルドが最初に報じたもの。

 同紙によると、アップルは昨年4月にもサムスンディスプレイとOLEDディスプレーの供給に関する契約を結んだ。この昨年の契約は、サムスンが今年(2017年)4〜6月期から3年にわたり、年間1億枚のOLEDパネルをアップルに供給するという内容。

 昨年の契約と今回の新たな契約に関する情報が正しいとすれば、アップルは今年発売すると噂されている次期モデル「iPhone 8(通称)」向けに、少なくとも1億6000万枚のOLEDパネルを準備していることになると米シーネットや米マックルーマーズなどの海外メディアは伝えている。

 この1億6000万枚という数字は、おおむねアップルが1年間に販売する新型iPhoneの台数と一致するという。

 例えばアップルは一昨年に約2億3000万台、昨年に約2億2000万台のiPhoneを販売した。これは旧モデルも含むiPhoneシリーズ全体の販売台数。一方でアナリストらは、ここ数年におけるiPhoneシリーズ各モデルの累計販売台数は約2億台と見ている。

 これらの数字から推計すると、サムスンは今後アップルが必要とするiPhone用ディスプレーパネルの80%を供給することになると、コリア・ヘラルドは伝えている。

ライバル2社が1.3兆円規模の契約

 これはアップルにとってスマートフォン市場でライバルのサムスンが、最大のディスプレーの供給業者になることを意味しており、サムスンにとってはアップルという強力なライバルを重要な顧客として迎え入れることになると、海外メディアは報じている。

 その金額も膨大になるもようだ。これらの報道によるとアップルとサムスンが昨年結んだ契約の規模は8兆ウォン(約7912億円)。2回目となる今回は5兆ウォン(4945億円)に上るという。

iPhone初のOLEDディスプレー

 アップルが次期iPhoneにOLEDディスプレーを採用するという観測はこれまでにも出ていた。例えばJPモルガンのアナリストは昨年11月、顧客向けに出した調査ノートで、アップルがiPhoneの2017年モデル用OLEDディスプレーを確保するために、40億ドル(4540億円)規模の取引を行うと報告していた。

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 アップルはこれまでにOLEDディスプレーを、腕時計型機器「Apple Watch」や新型ノートパソコン「MacBook Pro」のキーボード部分にあるタッチディスプレー「Touch Bar」で採用しているが、iPhoneではまだ採用していない。

 OLEDディスプレーは、低消費電力で高輝度、高コントラストを実現できる。その名のとおり有機物の発光体を利用するため、液晶ディスプレーのようにバックライトを配置する必要がない。また基板には従来のガラス基板だけでなく、薄いプラスチックなど軟らかい素材を使うこともでき、薄型化が可能だ。

 ただ、OLEDディスプレーは生産工程が複雑であるため、歩留まりが悪い。こうしたコスト面、生産面の課題があるため、これまでアップルはiPhoneにOLEDディスプレーを採用しなかったと、米バリューウォークの記事は伝えている。

無線充電機能を搭載か

 iPhoneの2017年モデルについてはこのほか、ディスプレーの端部分がカーブした縁のないデザインになり、物理的なホームボタンが廃止されるといった観測も出ている。「Touch ID」の指紋認証スキャナーはディスプレーの下に組み込まれ、本体背面にはガラス素材が採用されるといった観測もある。

 また、アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しい台湾KGI証券のアナリスト、ミン・チー・クオ氏は先頃出した調査ノートで、次期iPhoneには3つのモデルが用意され、そのすべてに無線充電機能が搭載されると報告している。

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筆者:小久保 重信