朝鮮日報・ロイター通信などが速報で「北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害」「金正恩氏の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害される=韓国メディア」と伝えており、海外でも続々とニュースになっています。

[速報]北朝鮮の金正男 マレーシアで殺害

Kim Jong-un's half-brother 'assassinated in Malaysia by female North Korean spies with poison needle'

North Korean leader’s half-brother killed in Malaysia: Report - Channel NewsAsia

写真左側が殺害されたと見られている金正男氏。



現在の北朝鮮最高指導者である金正恩の異母兄にあたります。旧ソ連モスクワ経由でスイスのジュネーブに留学後、ITに興味を持っていたため北朝鮮の情報通信政策を指揮する朝鮮コンピューター委員会委員長を務め、朝鮮コンピューターセンター(KCC)設立を主導、さらに父親である金正日総書記からの直接指示による武器輸出の総責任者、さらに金正日総書記の秘密資金の管理責任者としても活動していたとされています。しかし偽造パスポートで日本のディズニーランドへ行こうとして不法入国が摘発された件で後継者争いから脱落、中国やマカオで逃亡生活に等しい海外生活を送り、北朝鮮の権力世襲については批判的で「個人的に3代世襲に反対する」という考えを明らかにしており、2010年10月11日に放送された日本でのインタビュー映像中でも「(金正恩が後継者になった背景には)北朝鮮の内部的な要因があったと思う。そのような内部要因には従わなければならないと考える」と述べ、なおかつ改革開放志向であったことからも金正恩党委員長との確執があると伝えられており、それが暗殺の原因ではないかと見られています。以下がテレビ朝日によるインタビューを報じた当時のCNNによる映像。

Kim Jung Nam, Kim Jung Il's 1st Born on North Korea - YouTube

また、金正男氏と金正恩氏の父親である故金正日氏の誕生日である2月16日は「光明星節」という祝日になっており、国家的記念日が目前まで近づいているため、現在の最高指導者である金正恩氏の正当性を誇示する必要性から、今のこの時期に暗殺に至った可能性もあります。加えて、2012年にも脱北者を装って韓国に侵入して身柄を拘束された北朝鮮の工作員が「『金正男を捜し出して暗殺せよ』との指示を受けた」と証言していたこともあり、以前から暗殺対象になっていたようです。

報道によると「マレーシア警察が、北朝鮮国籍の男性が死亡したことを確認したが、身元を調べているところだ」と報じられており、さらにTV朝鮮は複数の韓国政府関係者の話を引用し「金正男氏がマレーシアで北朝鮮の女スパイによって毒殺されたとみられる」と報じ、韓国のテレビ局YTNは「韓国政府の関連部署が近く(報道に対する)立場を明らかにする」と伝えています。



また、読売新聞は「北朝鮮に詳しい情報筋は本紙に、「彼(正男氏)が殺害されたことが確認された。殺害の経緯は報道されている通りだ」と語った」と書いており、暗殺はほぼ確定という流れでニュース化しているものの、これだけの大事件にも関わらずNHKは速報などを未だに流していないので、これらの情報が100%確定だとはまだ考えていないようです。



複数の政府筋からの話として伝えられた報道によると、「女工作員2人はタクシーを呼び止めて乗り込み、すぐに立ち去った」とされており、AFPはクアラルンプール国際空港を管轄する警察の話として「同空港で13日、40代の北朝鮮人男性が体調不良に陥っているのが見つかった」「空港当局が男性を急いで病院に搬送したが搬送中に死亡した」「この北朝鮮人男性のその他の詳細については把握していない。身元も分かっていない」と報じています。

2017/02/14 22:31追記

ついにNHKが「北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害されたとの情報 | NHKニュース」ということで報じました。NHKの取材によるとマレーシア警察当局は「北朝鮮の男性がきのう病院に運ばれて死亡が確認された。現在死因について調べている」と回答したものの、韓国政府の複数の関係者はNHKの取材に対し、「確認できない」と話しており、情報が錯綜しているようです。



なお、韓国大統領府はこの件について外交・安保当局に確認と対応を指示した、と伝えられています。

2017/02/14 23:05追記

マレーシアの報道で警察が「金正男氏の死亡を確認した」とのことで、死亡が確定したようです。BBCも以下のように本人死亡確定だと報じています。



また、息子ハンソル氏らの身にも危険が及ぶのではないかと危惧されています。

なお、以前にソウル市内で逮捕された北朝鮮工作員から押収した「暗殺道具」のひとつに毒針が仕込まれた「ペン」があり、ペンの後端を回転させることで毒針が出てくる仕組みになっており、「仕込まれた毒針に刺されると短時間のうちに筋肉がまひし、窒息死してしまう」そうです。



また、2012年には本人へのインタビュー7時間とメール150通をまとめた以下のような書籍が出ており、今回の暗殺のニュースを受けてAmazonランキングベストセラー1位となっています。

父・金正日と私 金正男独占告白 | 五味 洋治 |本 | 通販 | Amazon



2017/02/15 0:12追記

マレーシア警察が韓国政府へ金正男氏死亡を連絡、共同通信が確認したところによると「クアラルンプール国際空港で13日午前9時ごろ、北朝鮮人の男性が体調不良を訴え、近郊プトラジャヤの病院へ搬送中に死亡したため、検視を行ったと明らかにした。死因は確認されていない。男性は空港スタッフに「顔に何か吹きかけられ、体調が悪い」と訴えた」とのことです。また、韓国に亡命した元北朝鮮高官は「金正恩は金正男に北に帰国するよう指示したが、金正男がこれに応じなかったため、処断された」「金正恩党委員長が、海外生活を送る正男氏の資金源を遮断した上で、北朝鮮に戻ってこいと命令」「全てを保障するとしながら息子と一緒に帰国するよう伝えたものの、正男氏が受け入れなかった」との見方を示しており、「正男氏は北朝鮮での監禁生活を恐れて拒否したのだろう」とのことです。