3月12日から始まる春場所で、モンゴル勢の巻き返しが激しくなってくる。特に白鵬と日馬富士の仲があまり良くないと言われているが、コト日本人横綱に連続優勝させるのは、絶対阻止の構えだ。犬猿の仲などと言ってはいられない。優勝に近い方(モンゴル3横綱)の援護射撃は十分にある。

 それにしても、稀勢の里フィーバーが止まらない。1月27日、明治神宮で初めて披露した雲竜型の土俵入りの際には18000人、2月3日、節分の豆まきに参加した千葉県成田市の成田山新勝寺には合わせて68000人が詰めかけた。稀勢の里(30)も「こういうところでやれるのは光栄。多くのありがたい言葉もいただきました」と感激していた。
 だが、この熱狂ぶりを冷ややかに見つめる男たちがいる。初場所、すっかり引き立て役にまわってしまった、モンゴル出身の先輩3横綱たちだ。とりわけ、横綱になってワーストとなる4場所連続で優勝を逸した白鵬の表情は厳しい。

 それにしても、白鵬には、いまだに口惜しさが残る一番がある。それは先場所の稀勢の里戦。ここでもし勝っていれば、稀勢の里の横綱昇進を満場一致で答申した翌日の横綱審議会の空気を微妙に変える可能性があった。しかし、あえて真っ向勝負にこだわり、何かに取りつかれたように一気に土俵際まで追い詰めたものの、攻めきれずにすくい投げで逆転された。
 「攻めきれないとみれば、引いたり、横に振ったり、他の戦法もあった。これまでの白鵬なら、そうしていたはずです。取組後、なぜあんなに真っ向勝負にこだわったのかと報道陣から質問されると、白鵬は『宿命だから』とだけ答えました。新横綱の誕生は時の流れ。この一番で負けて横綱昇進が不動のものになってもいい、と達観していたのかもしれません」(担当記者)

 あれが白鵬流の美学だったのだろうか。しかし、春場所では、もうそんなものには見向きもしないに違いない。5場所も優勝から遠ざかれば「白鵬、衰えたり」という声がいよいよ大きくなるのは必至だからだ。
 そんな決意を裏付けるように、2日から春場所に向けて稽古を開始した白鵬は、連日の稀勢の里フィーバーについて「(そんなものが消えるのは)時間の問題ですよ」とチクリ。1月29日に両国国技館で行われた白鵬杯の会場でも、「今度は自分らしく、先輩横綱の意地を見せたい」と雪辱を誓っていた。
 この白鵬よりも1日早く稽古場に出て、汗を流した稀勢の里は「しっかり稽古して、本場所でいかにいい相撲が取れるか、準備していく」と連覇に虎視眈々だった。

 冒頭にも述べたが、犬猿の仲と言われている白鵬と日馬富士でも、稀勢の里に連続優勝させるわけにはいかない。どちらか優勝に近い方に援護射撃するとみられている。鶴竜にしても、稀勢の里に対しては全力で立ち向かってくるはず。新横綱の前にモンゴル3横綱の厚い壁が立ちはだかる。