実際の事件がモチーフ - 映画『ダーク・ナイト(原題)』
 - Robert Jumper in DARK NIGHT. Photo by Caspar Newbolt. Copyright 2017 Cinelicious Pics.

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 2012年に起きたオーロラ銃乱射事件をモチーフに描かれた映画『ダーク・ナイト(原題)/ Dark Night』について、ティム・サットン監督が2月7日(現地時間)インタビューに応じた。

 2012年にアメリカ・コロラド州オーロラの映画館で起きた銃乱射事件(オーロラ銃乱射事件)を基に、6人の男女と1人の殺人犯が映画館に向かうまでの経緯を、プロの役者を使わず、ドキュメンタリータッチに描いたドラマ。撮影監督は映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のエレーヌ・ルヴァール。第73回ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門に出品された。

 今作は、ガス・ヴァン・サント監督作『エレファント』(1999年にコロラド州の高校で起きた銃乱射事件がモチーフ)をほうふつさせる。ティム監督は「確かに『エレファント』には大きな影響を受けた。今作もあの作品も、事物を単純化させて観察したものだ。そして今作は、『エレファント』で始まった銃の暴力に対する映画的な反応の続きだと思っている」と語った。作中、メディアが取り上げるようなセンセーショナルなアプローチをしていない点も魅力だ。

 今作ではワイドショットが多用され、その客観的な映像表現は、観客を惹きつけることに成功している。「今作では、ストーリー構成とフレームによって、それぞれのキャラクターが別々に描かれ、観客は非常に冷たく、孤独な感覚を覚えるだろう。さらに作中のキャラクターは、自身のコミュニティーよりも、むしろ(携帯などの)テクノロジーにだけ親密な関わりを持っている。それでも観客がこのテンションに惹きつけられるのは、誰もがこの後に何が起こる(銃乱射事件)か知ってるからだ」。

 今作で印象的な楽曲を担当したのは、アートロック・プロジェクト マイカミアのマイカ・アルマタ。ティム監督は今作での音楽の役割について「マイカの楽曲は、『精神的な声』になっている。今作での音楽は、観客にとってのナレーターやガイドであって、悲哀に満ちた雰囲気を作り上げている。彼女はロケ現場にも足を運んでくれて、音楽を作ってくれた」と称賛した。

 最後に、実際の事件を映画化することについて「(生存者や犠牲者の家族のことを考えると)確かに難しかった。誰も傷つけたくはなかったからね。それでもわれわれアメリカ人が今、銃社会の中でどんな状況に置かれているか、意味のある試みだと思った」と明かした。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)