一流は「中の人」ではなく、自ら「外の人」に“殴られ”にいく

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■自分の「深層」と対話・対峙して得る、気づき

人は誰しも迷って混乱してしまうときがあります。ただ、その混乱状況には、2つのレベルがあると思います。

ひとつは、「外側」に聞けばわかるレベル。つまり、誰かに聞けば正解や有効な戦略を知りうる可能性が高い。

もうひとつは、自分の「内側」と対峙し深く内省することで、ようやく対策が分かるレベル。比較的重大な混乱状況です。

例えば、次のような迷い・混乱に襲われたことはないでしょうか?

・自分はどう生きたいのか?
・自分を高めるためにはどうすればいいのか?
・人に動いてもらうためにはどうすればいいのか?
・家庭円満の秘訣は何か?
・何のために働いているのか?
・誰に貢献したいのか?
・次の世代に何を残したいのか?
・人生で最も大切にしたいことは何か?
・幸福度を高めるために何が必要だろうか?
・もっと大きな成果をあげるために何が必要だろうか?

こうした混迷に答えを出すには、前述した「深いレベルで内省」し、大きな気づきを得ることができるかどうかがポイントとなります。

なぜなら、私たち自身の中にしかこれらの答えやベクトルは見つからないからです。他人に聞いてもなかなかいいアイデアが出にくい。だから、自分の深層に眠る部分との対話が必要で、そこで生まれる気づきだけが答えを出していく唯一の手がかりとなるのです。

■「慣れた仲間」からは人生の気づきは得られない

習慣化のコンサルティグを多くの経営者やビジネスパーソンに対してしていると、大きな気づきは、刺激指数の高い「人物」「本」「体験」から生まれる、ということがわかってきます。

今回は、刺激指数の高い気づきを生み出すための3つの戦略をご紹介します。

【1:刺激指数の高い人と会う】

人生を変える気づきは人を通じて得られることが8割といってもいいと思います。刺激指数が低い人とは、自分と似た環境・レベルの人です。決して一緒にいて意味がないというわけではありません。共感したり、共にモチベーションを高めたりすることは重要です。

しかし、人生を変える刺激指数の高い人は、自分よりステージが高い人(例えば組織で言えば3階級ぐらい上の人や圧倒的なパフォーマンスを上げている先輩など)か、全くの異分野の人、前向きで意識が高い人です。そうした人物と接触し、時間を共有することで、それまでの自分の価値観がガラガラと崩れる。まるでバーンと殴られるような感覚で、目が覚めるのです。

とはいえ、居心地がいいのは同じステージ・同じ分野・同じ意識レベルの人です。私は習慣化の学校や習慣化の部活というコミュニティーを複数持っていますが、参加される人が気づきを得られるのは、普段の職場では得られない異分野の人でかつ前向きで意識の高い人が集まるからだと思っています。

みなさんご存知のグーグルという会社は世界的に人気で、就職するのは至難の業です。希望者が殺到するのは福利厚生が充実しているからではなく、また給与が高いからではなく、一緒に働く社員のレベルが非常の高い集団だからではないでしょうか。

気づきは、フィードバックから得られることがあります。ニトリの創業社長、似鳥昭雄氏(現会長)は、家具業界で自社を急成長させた起業家です。彼は社長時代、恐怖のコンサルタントとして名高い先生を顧問にして、毎日怒られていました。

ソフトバンクの孫正義氏も経営会議では「またやられたよ……」というほど、手痛いフィードバックをするのは社外取締役を務めているユニクロの柳井正氏。それこそ、歯に衣着せぬ手厳しい指摘をするそうです。しかし、そんな猛獣のような社外取締役を入れるのは、刺激指数の高いフィードバックが欲しいからでしょう。孫さんには巨大なビジョンがあるので、それを実現するためにフィードバックを得るのです。

私たちも人生レベルの気づきは、誰か強烈な存在として怒ってくれる人や耳に痛い言葉を言ってくれる人が必要なのです。

私は最近座禅を組みにいきますが、住職の言葉はとても心に刺さります。そして、耳に痛い内容です。ちょっとした自己嫌悪の感情になるくらい、ビシビシに響く言葉がやってきます。しかし、それを受けるとなぜか、自分の枠が広がり謙虚にもなれるのです。

趣味のサークルでもいいのですが、刺激指数が高い人と会うことは、人生の気づきを得る上で非常にヒントになるはずです。

■古典的名著を読み、新しい取り組みが「気づき」に通じる

【2:刺激指数の高い本】

読書をする習慣がある人は、それだけで刺激量が多いということになりますが、刺激指数の高い本を読むことをお勧めします。

古典的名著は、刺激指数が高い可能性があります。『論語』、『孫氏』、『思考は現実化する』(ナポレオン・ヒル著)、『人を動かす』『道は開ける』(以上、デール・カーネギー著)、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)などです。

また、偉大な経営者は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』や『坂の上の雲』など歴史の古典を読んでいるというエピソードをよく聞きます。さらに異分野の研究からヒントをもらう人も多いものです。

経営コンサルタントとして有名な堀紘一氏は生物学など一見、経営と関係ない書籍をたくさん読むそうです。そのほうがインスピレーションをもらったり、物事の本質をつかんだりするのに効果的だと語っています。

【3:刺激指数の高い体験】

気づきが生まれる瞬間。それは、頭の中で起きるというより、身体感覚的でかつ深層心理レベルで起きている感覚に近いように思います。

最も身体感覚や深層心理レベルで大きな気づきが生まれるのは体験です。新しい挑戦をしたり、困難な状況に入ったり、大きなリスクをとって行動したりするとき、私たちの脳は大きな刺激を受けます。一種の緊張状態になるからです。

そして、行動すると確実に感情レベルで不安や恐怖があり、拒絶への恐怖もあります。しかし、それを乗り越え達成すると、身体感覚レベルで体験として得たものは、単なる知識ではなく、暗黙知の集合体である知恵となって体に残ります。

刺激指数の高い体験が、気づきを与えてくれるわけです。そのために、
・意図的に全く新しい行動をとってみる
・新しい人と組んでみる
・新しいやり方を試してみる
・通常より目標を刺激的なぐらい高めてみる
・リスクのある挑戦に挑んでみる

以上、人と会う、本を読む、体験するという3つの切り口をご紹介しました。

いつも通りの安全圏内から抜け出して、「刺激指数の高い」人・モノ・コトに対して積極的にアプローチしてみてください。人生を変える気づきは、案外、自分の想定していない“不思議なところ”からやってくるものです。

(習慣化コンサルタント 古川武士=文)