『嘘の戦争』(フジテレビ系、関西テレビ制作)第5話。九島(平岩大)の「え?」という驚く演技のバカっぽさはすごかった。


今回の復讐相手は、元バカな大学生


ターゲットは、30年前のOL殺害事件の主犯・九島。興三(市村正親)いわく、30年前のバカな大学生だ。一ノ瀬(草なぎ剛)とハルカ(水原季子)は、それぞれパイロットとキャビンアテンダントに扮して近づこうとした。

一ノ瀬は、不倫相手の芙美(真飛聖)と歩いている九島にぶつかり、持っているワインを落としてしまう。まるでイタリアのクラシックな当たり屋だ。しかし、権威に弱い九島は、相手がパイロットとみるやすぐに謝りお金を払おうとする。「代わりに一緒にお酒でもどうです?」なぜか、一緒に飲もうと誘う一ノ瀬。それに乗る九島。なるほど、なんかバカだ。

虚栄心を満たして距離を近づけるため、一ノ瀬は九島を褒めちぎった。さらにハルカは色仕掛けで九島を落としにかかる。不倫相手の芙美がいるのに、鼻の下は伸びっぱなしだ。確かにこいつならあんな事件を起こしていてもおかしくない。

後日、一ノ瀬は「上京する友人に美術品を渡したいので預かってほしい」と急なお願いをしに九島の元にやってくる。正直、面倒なはずだしいきなりで意味が分からないお願いなのに「信用できる人」と言われ九島の気分は有頂天。これを快諾してしまう。しかし、この美術品の底には白い粉が隠されていた。

一ノ瀬が去った後、麻薬取締部の職員に扮した百田(マギー)と八尋(菊池風磨)が現れ、焦った九島は逃げ出してしまう。逃げたら状況は悪化するだけなのに、やはりバカだ。そして、自分の事を好きだと思い込んでいるハルカに、逃亡しようと持ち掛ける。不倫相手の芙美はハルカとの関係に嫉妬し、九島のこれまでの不正を銀行と警察に告発する。

別荘らしき建物に隠し金を取りに来た九島を、一ノ瀬は待ち構えていた。そこで猟銃を持ち30年前の事件に関して土下座をさせる。一ノ瀬が置いていった猟銃を持った九島はその場を離れようとするが、警察に囲まれてしまう。またしても焦ったバカな九島は、なぜか警察にむけて発砲してしまう。これに業務上横領の罪も加わり逮捕。復讐は完了した。

晃が悪いとは決まっていない!


なんと九島の口から二科家の長男である晃(安田顕)が30年前のOL殺害事件に関わっている事が明らかになった。今までの5話は全て、新しいターゲットを見つけてはその回に復讐をするという完結型の痛快復讐物語だった。しかし、晃の場合はちょっと違う。晃は初回から登場している主要人物だ。

妹思いの晃。弟にコンプレックスを抱いている晃。一ノ瀬と一緒に草野球チームを作ろうとしてる晃。弱いのに将棋が大好きな晃。悪人ばかりのこのドラマで、唯一の癒しのような存在だったのが、この晃だ。一ノ瀬に復讐されてしまうのは、少し心苦しい。

とはいえ、晃が悪人と決まったわけではない。判明している晃がした事は“殺害されたOLをナンパして九島達に紹介した”“犯行の見張り役だった”この2点だ。ということは、もしかしたら“九島達が強姦するとは知らずにナンパしてきた”“割と人目に付く場所、例えばカラオケボックスだったので、強姦とは知らなかったが、やっているのを誰かに見られないように見張っていた”だけなのかもしれない。

晃は作中で随一のおバカキャラだ。このように何も知らなかった可能性は多いにある。事件に巻き込まれてしまっただけなのかもしれないのだ。というか、そうであって欲しい。ドラマ内で数少ない善人だけに、これで晃が悪人だったのなら誰も信用できなくなってしまう。しかし、もし晃が善人だったとしても、一ノ瀬は容赦なく復讐を遂げてしまうだろう。そこが復讐物の悲しいところだ。

今まで毎回誰かに復讐を遂げてきたが、あらすじを見る限り6話の一ノ瀬は守勢に回りそうな雰囲気だ。どうやら一話完結の復讐物語も今話で終わり。中盤にきて大きな展開を迎える「嘘の戦争」。今夜も見逃せない。

(沢野奈津夫)