連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第20週「旅立ちの時」第110回 2月13日(月)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


109話はこんな話


昭和37年6月(1962年)、
さくら(井頭愛海)や健太郎(古川雄輝)は進路を考えるように。
子供に手がかからないようになったらこの先どうしようかと喜代(宮田圭子)さんも進路を考えはじめたとき、忠さん(曾我廼家文童)が「冒険の旅」に誘いに来る。

若者の未来は


龍一(森永悠希)はノンポリの大学に通いながら、反体制運動に参加中らしいが、反体「生」とヘルメットに書いていた。

「おれの人生この先
不安を言葉にできない恐怖
若者の未来は おうおう・・・
心の叫び
闇の中」

龍一の自作の歌は、ある意味、現代にも通じる若者の心情を端的に表しているとも言えるが、誰の心にも響く様子はない。
夏になると、堀江謙一(実在の人物。現在兵庫県芦屋在住で14年には芦屋市民文化賞を受賞している)のヨットでの太平洋横断に刺激され、「冒険したい」「世界をまわる旅をしたい」と言い出す。
だが、父・勝二(田中要次)には投げ飛ばされるほど叱られる。
不満げな龍一に「成し遂げな、認められへん言うこっちゃ」と諭す二郎(林遣都)の子供の名前は伸太郎。当時、堀江謙一の偉業にケチをつけたことで知られる、あの石原慎太郎とは字が違うが、なんだか皮肉な。

わたしは何を残してきたんやろう」


さくらは東京で感性を磨きたいと思い、健太郎は父母や祖母の期待に応えて京大に行こうと考えている。

東京には神戸や大阪にないものがありそうと言うさくら。
この年(62年)、東京では日本初の芸術映画専門上映館アートシアター新宿文化ができて、前年発足したATG(日本アート・シアター・ギルド)の第一回配給作品「尼僧ヨアンナ」が封切られていた。

いしのようこ演じるおばあちゃん、まだ生きていた。久々登場だが、変わらず若々しい。

部屋で石膏デッサンしているさくらを見て、何も言わずに部屋を出る喜代さん。さすが、空気をよく読んで、自分の世界に没頭しているひとに話かけたりしない。
「わたしは何を残してきたんやろう」と疑問を抱く喜代さんだが、これだけ人に思いやりを振りまく、できた人はいやしない。
そんな喜代さんの元に忠さんがやってきて、
「残りの人生、わてと一緒に冒険の旅に出ませんか」と切り出す。
105話で忠さんの初恋が喜代であることが語られていたのは、ここにつながっていた。
喜代さんも、ある意味ひとつの偉業(すみれとゆりとさくらを、はなに代わって育てた)を成し遂げたから、冒険の旅に出るのもいいのかも。

この日「スタジオパークからこんにちは」に宮田圭子が出演、喜代を演じるにあたり目立たないことを心がけたと振り返った。永山絢斗が彼女の芝居は「引き算と掛け算」と表現。自分の芝居を足さずに引くが、相手役とは芝居をかけ合わせていくことかなと思う。
宮田さん、素敵です。
(木俣冬)