<トランプ政権に批判的なウォッチを続けるのはもちろんいいことだが、ときには「ひねり」を加えた手法で報じてみるのもいい>

トランプ米大統領が精力的に動いている。中東など7カ国からの入国を一時停止する大統領令をはじめ、さまざまな動きが国内外で批判を呼んでいる。

メディアは、このポピュリスト大統領とどう付き合えばいいのか。ただひたすら、批判を続けるしかないのだろうか。

もちろん、徹底的な批判は必要だ。手を緩めてはならない。しかし一本調子で批判を続けるのも、楽しい作業ではない。

ここでは少し別の手を考えてみたい。例えば「今やろうとしていることは、本当にあなたの理想のアメリカをつくるためのものか」と念を押す。「あなたのやっていることは、自分の品格を落とすことにならないか」と忠告する。

こうしたひねりには効果がある。先日、米ABCテレビがトランプの単独インタビューを行ったとき、この手法が織り交ぜられていた。今後、他のメディアの参考になるかもしれない。

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インタビューはホワイトハウスで行われた。インタビュアーは、ABCのデービッド・ミュアー。43歳のミュアーは明晰な言葉で、トランプに質問を投げ掛ける。その問いは、時にトランプの公約の痛いところを突く。例えば、移民の問題について。

「不法移民の親に連れてこられた子供たちがいます。彼らは国外追放される可能性があるのでしょうか。それとも、アメリカにとどまれるという保証を得られるのでしょうか」

「移民」という問題から「子供」という要素だけを取り上げると、それまで見えなかった問題が見えてくる。移民の生活だけでなく、子供の成長や教育の問題に関わるからだろう。

器の小ささを暗に示す

次にミュアーが触れた大きなポイントは、トランプが「違法な投票がなければ、一般投票でも自分が勝っていた」と言い続けている点だ。

「大統領は今週、ホワイトハウスに議会指導者を招いたときも、300万〜500万票の不正投票があったと話していました。事実であれば、アメリカ史上最悪の不正選挙ということになります。その証拠はどこにあるのでしょう。証拠を示すことなく、そのようなことを言い続けていると、あなたへの信頼が損なわれると思いませんか」

一般投票でも自分が勝っていたというトランプの主張に証拠があるなどと思っていた有権者は少ないだろう。だがミュアーは、証拠について問いただすのを忘れていなかった。

[2017.2.14号掲載]

森田浩之(ジャーナリスト)