完全復活を誓ったカターレ富山のMF椎名伸志

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 今季はプロ入り後3年間籍を置いていた松本山雅FCを退団し、カターレ富山への完全移籍を決断。15年7月から富山にはレンタルで在籍していたが、MF椎名伸志にとって今年は文字通り勝負の年だ。

 椎名を語る上で怪我を切り離すことは出来ない。青森山田高時代は、1学年下のMF柴崎岳(テネリフェ)とのコンビで高校サッカー界を席巻。一躍、全国的な注目選手になった。しかし高校3年生の夏に左膝前十字靱帯を断裂。流通経済大に進学してからは、3年次に同個所を断裂。そしてプロ入りし、富山に移籍してきた直後の15年7月に左膝前十字靱帯断裂及び、内側側副靱帯損傷という大怪我を負うと、この怪我は昨年1月の再建術も伴った。

「怪我が多いというより、一発がでかい」と反省する椎名だが、これまでも乗り越えてきたという自信が心を支えている様子。現在のコンディションにも問題はないようで、「周りからのイメージもついていると思うけど、これだけ怪我してもまだプレーできるというのを見せたい。これからまだやってたんだ、まだいたんだというだけの活躍をして、個人としてもチームとしても、結果を残せるように頑張っていきたい」と力に変えている。

 今冬は椎名に大きな刺激を与えることが複数あった。母校の青森山田高はプレミアリーグEASTを初優勝すると、チャンピオンシップでは広島ユースを下して、日本一に立った。さらに年明けに行われた全国高校選手権では前評判通りの強さを見せつけ、初の頂点にも立った。「自分たちが目指していたものを後輩たちが獲ってくれたというのは、素直にうれしいですね」と祝福した椎名。「青森でパーティがあると聞いているので、何かできればいいな」と笑顔で話した。

 そして柴崎岳だ。柴崎は昨年末に行ったクラブW杯に出場すると、決勝のレアル・マドリー戦で2ゴールを記録。世界に名を轟かせると、1月には念願だったスペインリーグへの移籍を果たした。「最近はなかなか会えていない」と話す椎名だが、今冬も「選手権を見に行くの?」といった連絡は取り合ったという。「年下ですけど、高校の時から素直に尊敬できる選手。彼のおかげでもっともっと本気でプロを目指そうと思った。そう思わせてくれた選手なんです」と常に刺激を与えてくれる存在でいる。

 だが喜んでばかりいるわけではない。青森山田や柴崎の話題で取材を多く受けたというが、うれしい反面、悔しい思いもあったという。「そういった外の活躍で注目されるんじゃなくて、自分自身の活躍で注目されるような活躍をしたい」と負けず嫌いの一面を常に持ち続けている。「自分の中では怪我がなければ十分にプレーできる自信がある」と力強く話すと、「今季は全試合出場を目標に掲げて、プレーし続けたい」と完全復活を誓った。

(取材・文 児玉幸洋)