ブログがきっかけで休学費用減額の訴えをした檜山柚美さん(左)と持田茉椰さん

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 留学や病気、経済的な事情で大学を休むと、多くの場合、「休学費用」がかかります。日本女子大学の学生だった5年前、休学費用の値下げを目指して奮闘した女性がいました。その女性が昨年10月、当時の経緯をブログにつづったところ、在校生の間で瞬く間に共有され、学生が再び大学に減額を訴える動きに発展しました。

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大学を休むだけでなぜ高い費用が?

 ブログを書いたのは、神奈川県の会社員佐藤真央さん(26)です。

 佐藤さんが通っていたころの規定では、1年間休学する場合、施設設備費と図書費に加え、授業料の半額を納めることが必要でした。

 佐藤さんの場合はその額はなんと約66万円!

 佐藤さんは約50大学の休学費用を調べました。

 すると、日本女子大の費用が特に高いことがわかりました。ほかの大学に減額を求めて活動した学生がいたので話を聞いたり、日本女子大の学生総会に出て減額を訴えたりしました。

 しかし要望はかなわず、飲食店のアルバイトでためた160万円から休学費用を払い、2012年の夏から世界旅行に出かけました。

 「大学を休むだけで、なぜそんな高額な費用を請求されるのか」
 「きっと、経理課の窓口に文句を言いに行ったあの日から、私の『世界一周』は始まっていたんだと思う」

 昨年10月、旅行の思い出を記録しておこうと立ち上げたブログに、当時の心境を書き起こしました。

 そしていま在学中の学生に対して、「周りの目なんて気にしないでやりたいことやろうよ。そのほうが学生生活楽しいよ」と呼びかけました。

いまなら変えられるかも

 「何これ?」

 「日本女子大学を本気で変えようとした話。」と題したブログがアップされた翌日、文学部4年の檜山柚美さん(22)は記事を見て驚きました。

 檜山さんは2年生の夏から3年生の夏にかけてアメリカに留学し、民族音楽や伝統文化を学びました。

 大学の交換留学制度を利用したので休学費用は必要ありませんでしたが、友達の中には負担が重くて留学をあきらめた子もいました。

 「みんなに知ってほしい」。フェイスブックでブログの記事をシェアしました。

 「1000回くらい、『いいね!』したいね」とコメントしたのは、友人の家政学部4年持田茉椰さん(21)。
 持田さんは3年生の夏から1年間、イギリスに留学して都市計画や街づくりを学びました。

 交換留学ではなかったため、休学費用を支払いました。

 「いまなら変えられるかもしれない」。

 2人は1カ月後の昨年11月に目白キャンパス(東京都文京区)で学生総会があることを知り、減額を訴えることを決めました。

Bloom as a leader

 どうすれば大学に思いが伝わるか考える中で、2人にある言葉が浮かびます。

 「Bloom as a leader」

 日本女子大の標語で、「自己の可能性を開花させて、それぞれのステージでリーダーになる」という意味が込められています。

 社会で活躍する人材を育てるため、留学などで挑戦しやすい環境をつくってほしい、という思いを伝えることにしました。

 迎えた学生総会。

 檜山さんが思いをぶつけると、ほかにも減額を求める学生がいて、学生の総意として大学側に減額を訴えることが決まりました。

 同じころ、西生田キャンパス(神奈川県川崎市)であった学生総会でも、2人の学生が減額を訴えていました。

 人間社会学部3年の栗原紗代さん(22)と、笠尾穂波さん(21)です。

 2人は今春から休学し、1年間留学します。

 2人とも留学の決意は固めていたものの、休学費用が心の重荷になっていました。

 栗原さんは学生ローンを借りようか迷い、笠尾さんは卒業後に親に返せるか不安を抱えていました。

 佐藤さんのブログを読み、「変えられるチャンスかもしれないと思った」と言います。

大学が減額を決定

 そして今年1月10日、4人に吉報が届きます。
 
 大学は2017年度から、休学中の授業料、施設設備費、図書費は免除し、休学期間が半期の場合は10万円、1年の場合は20万円を在籍料として納める規定に変えることを決め、ホームページで公表しました。

 年間60万円ほどかかった費用は3分の1程度に。

 広報課の担当者は取材に対し、「学生の負担を減らし、挑戦の可能性を広げたい」と語りました。

 朝日新聞が学生数の多い約50大学の休学費用を調べてみると、私立大学の多くで費用を納める必要がありましたが、年間10〜15万円が多数でした。

 また、留学などによる休学者の増加を受け、最近になって減額を決めた大学も複数ありました。

ぶっとんだチャレンジを

 今年1月下旬、4人は佐藤さんに会い、お礼を伝えました。
 
 佐藤さんは「5年前、私もベストを尽くしたけれど、結局、変えられなかった。変えたのはいまの学生たち。ぶっとんだチャレンジをする学生が増えてくれたらいいなと思います」と話していました。