ー年収1,000万円では、都心で豊かな暮らしを求めることはできない。

結婚後も都心暮らしを視野に据える賢い女性なら、肌感覚として誰もが知っていること。

現実的には年収2,000万円以上あれば...そう考えつつ、年収3,000万円と聞けば浮き足立つ女がいる。

国税庁の「民間給与実態統計調査」から推計すると、年収3,000万以上を稼ぎだすのは、約500人に1人以下。人口の0.2%程度。

そんな経済的に恵まれた男性の妻の座を獲得したのは、一体どんな女たちなのだろうか。

その婚活戦略や結婚後の実態をお届けする。

これまでに、年収1,000万では暮らせないと嘆く真美、同期が偶然御曹司だった麻衣、慶應幼稚舎出身のエリート夫を特別枠で手に入れた典子を紹介した。今週は?




【今週の年収3,000万の夫を持つ妻】

名前:綾乃(31歳)
夫の職業:美容整形外科医(43歳)
夫の年収:3,000万
結婚前の職業:客室乗務員
住まい:目白


きっと、幸せそうに見える私たち夫婦


元CAで現在は美容整形外科医の妻。

このタイトルだけを聞き、勝手に華やかな女性を想像していた。しかし、現れた綾乃は白のAラインスカートにネイビーのニットというシンプルな装いで、涼し気な目をした薄い顔の女性だった。

綾乃は明治大学卒業後、日系航空会社のCAとして華やかな生活を謳歌していたそうだ。

「CAならではのネットワークで新卒時代から出会いは多く、寄ってくる男性も少なからずいたんですよ。」

新卒時代、リーマンショック後とは言え東京は華やいでいた。週末ともなれば箱根の強羅花壇や葉山にある知人の別荘へ行くことも珍しくなく、毎年東京湾の花火は外資金融の男性陣が貸し切ってくれた屋形船から鑑賞し、話題のレストランはほぼ制覇。

永遠にこんな日々が続くと信じて疑わなかった。だが、楽しい時間は電光石火の如く過ぎていく。

-東京の遊びを一度覚えてしまった人ほど現実が見られなくなり、婚期を逃す。

この典型的な “東京の魔力”に捕らえられ、上手にシフトチェンジできなかった綾乃は、周囲が次々と結婚していく中、気がつけば一人だけ取り残され々焦りを募らせていった。

しかし焦れば焦るほど上手くいかないのが、婚活というもの。

年齢が上がると共に確実に周囲の男性は一人、また一人と消えていき、気がつけば良い男は全員既婚者。以前だったら見向きもせぬ男性でも良いからと周囲に漏らし、“妥協案”を探し始めた。

そんな時に、知人の紹介で知り合ったのが現在の夫・淳平だ。決して端正な顔立ちとは言い難く神経質な淳平だが、条件的には悪くない。医者の中でも年収が高いと言われている美容整形外科医であり、且つ本人が経営しているからだ。

「28歳だったら付き合っていなかったでしょう。でも30歳で出会った彼が、私の最後の砦のような気がしたんです。」


こんなはずじゃなかった...全く予期せぬ厳しい財政状況の生活とは?


年収3,000万の夫は、まさかの経費圧縮夫


結局、二人はわずか半年で籍を入れた。

現在自宅は目白の閑静な住宅街にあり、車はベンツのSクラス。婚約した際にはハリー・ウィンストンの指輪がInstagramとFacebookに連日投稿されており、優雅な生活を楽しんでいるのは明白だった。

「一見、何不自由なく暮らしているように見えると思いますが...実は夫は、年収に全く見合わぬ “経費圧縮夫”でした。」

仕事を辞め、現在専業主婦である綾乃にとって収入源は夫から貰える小遣いのみだ。しかしその小遣いが異常に厳しい。

綾乃が好きに使えるのは、月々10万。さらにここに食費、雑費なども含まれる。家賃や光熱費、外食や旅行などは夫持ちだが、一度贅沢を覚えた女性が、都内で10万の生活費で暮らして行くのは至難の技だということは容易に想像できる。

「昔は『ザ・カフェbyアマン』など、外資系ホテルで頻繁にランチやお茶を楽しんでいたのに...数回のランチと美容代で、10万なんて泡の如く消えていきます。結婚してからの方が、CA時代より厳しい生活を強いられていますよ。」

そう言って目を落とし、テーブルに置いた綺麗な手に視線を落とした。




3,000万はいづこへ...消える年収の謎


しかし目の前に座る綾乃の隣にはエルメスのガーデンパーティーが置かれている。Instagramを見るとハリー・ウィンストンの指輪だけでなく、ヴァン クリーフ&アーペルのネックレスや指輪の写真も並ぶ。

そのような物は、一体どこから湧いてくるのだろうか。

「元々持っていた物もありますが、旦那からのプレゼントもあります。」

淳平は生活費には厳しいが、誕生日などには宝飾品をプレゼントしてくれる。またレストランには異常なこだわりを持っており、行くのは一流店ばかり。旅行も必ずビジネスクラスで、ホテルも五つ星しか泊まらない。

「夫婦で会合に出席する際に、恥ずかしくないよう一流品を持てと言われています。体裁が良いように、物は贈ってくれるんです。」

淳平には腕時計の収集癖があり、何かある度に“自分への褒美”という名目で購入する。そしてスーツや靴への出資も惜しまず、毎年新調するそうだ。

「医者なのにスーツが必要なの?と聞いたことがあるのですが...本人曰く“必要経費”だそうです。」

そう、淳平は虚勢を張る夫でもあったのだ。


予想外の年収3,000万の暮らし。思わぬ夫の思惑に、妻は困惑する


忘れられない、独身時代の金銭感覚


淳平はごく一般的な家庭で生まれ育った。苦労して医者になり、年収1,000万を越えたのは30歳を過ぎてから。今まで抑制されていた物欲が、この時くらいから急に爆発し始めた。

そして美容整形外科医になり、独立してようやく手に入れた現在の年収3,000万の地位。

結婚するまで収入は全額自分の好きなように使えた。何を買うかは自分次第で、幾ら自分のために使おうとも何の支障もない。この独身時代の金銭感覚から、淳平は未だ抜けられずにいるのだ。

結婚とは自分の収入を妻と共有することでもある。一緒に連れて歩く自分のためにも、物品を購入するのは厭わない。しかし妻が女友達との豪華なランチや贅沢なお茶代となると、心のどこかで理不尽さを感じてしまうのだ。




年収では判断できぬ、各家庭の生活費


「元CA仲間には、商社マンと結婚した子もいます。彼らの年収は、良くてせいぜい1,000万でしょう?でもそんな人と結婚した彼女たちの方が、私より生活費は多い気がします。」

年収3,000万では、厚生年金、所得税、社会保険諸々の金額を差し引き(累進課税制度を加味した結果)手取りは約1,800万〜2,000万。1,800万としてボーナス無しで計算すると、月収は150万となる。

一見十分な額面だが綾乃の場合、淳平の趣味や嗜好品に月々100万は消えていく。綾乃が貰えるのは、食費も込みで10万だけ。残りのお金がどのように使われているのか、綾乃の知る所ではない。

夫が3,000万稼いでいようとも、綾乃が日々の生活でその実感を得ることは、ほぼないのだ。

一方で年収1,000万の手取りは約700~800万。800万としてボーナス無しで単純計算すると月収は約66万。

たしかに綾乃の言う通り、年収1,000万でも堅実で優しい夫であれば、綾乃よりも多くの生活費を貰っている妻は多いであろう。

「結局、額面ではないんです。自分への還元率と、見栄のためにお金を使わない誠実さ。夫選びのモノサシに必要なのはこの二つですね。」

年収3,000万の夫を手に入れ、一見華やかな生活を送っているように見える綾乃。しかし内情は、傍からは決して分からぬ厳しいものであった。

▶Next:2月21日火曜日配信予定
年収3,000万の夫を手に入れられるのは、ダブルインカム大歓迎の女

【これまでの年収3,000万の夫】
Vol.1:”年収1,000万ゴール”説の嘘。それっぽっちじゃ都心で暮らせない
Vol.2:ただの同期がまさかの御曹司。無垢な心で掴んだ計算ずくの勝利
Vol.3:亭主稼いで留守がいい。夫が稼ぐほど、妻の愛は他へうつろふ
Vol.4:慶應幼稚舎出身・年収3,000万の夫。凡女子が入れぬ“特別枠”を6歳で手にしていた妻